2023 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜重層培養系を用いたmTOR阻害剤による口内炎発症機序の解明
Project/Area Number |
19K10307
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 信隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90224972)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 延之 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70221372)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (80207802)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | シロリムス口内炎 / 発症機序 / 口腔粘膜細胞 / 細胞間接着因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロリムスは我が国ではリンパ脈管筋腫症の治療薬として承認されている。最も頻度が高い有害事象は口内炎で、シロリムス口内炎と呼ばれている。シロリムス口内炎に関するin vitroでの基礎的研究として、患者から採取した口腔粘膜細胞を7継代から8継代まで細胞培養した。次いで同培養細胞上にシロリムスを添加し、培養細胞の反応を観察した。その結果、培養細胞の増殖/生存能は50%程度に抑制され、DNA合成能は20%程度低下した。核の面積はシロリムス0nMに比べ、10nMの方が有意に小さくなっていた。細胞の面積はシロリムス0nMに比べ、0.1nM、1nMならびに10nMの方が有意に小さくなっていた。形態的検索として細胞形態を位相差顕微鏡下で観察したところ、シロリムス非存在下では口腔粘膜細胞は楕円形から紡錘形の付着細胞であるが、シロリムス存在下では小型紡錘形細胞の割合が増加した。表面抗原の検索として、シロリムス存在下および非存在下で培養した口腔粘膜細胞のE-cadherin、desmogleinの発現は、シロリムスの濃度が高くなるにつれ、低下した。一方、口内炎が6ヶ月経つと頻度が低下していくことから、シロリムス服用患者では、自己修復のシステムが働いていると考えられた。さらに同じm-TOR阻害剤であるEverolimusは、E-cadherinの発現を増加するとの報告もみられる。そこで新たにmTOR阻害剤シロリムス服用する患者を対象に服用後24週間の間に出現する口内炎について、発現時期、個数、位置、形状、症状、罹患期間、治療・予防について外来診察、アンケート調査により調査し、また、外来受診時に唾液採取と口腔粘膜スワブによる粘膜細胞採取により、シロリムスが口腔内環境に及ぼす影響について解析する。以上の研究により、シロリムス口内炎の予防と治療に繋がるような有益な情報を得る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞培養実験はほぼ計画通りに実施し、さらに現在シロリムス服用症例の口腔粘膜細胞について調査を行っているためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たにmTOR阻害剤シロリムス服用する患者を対象に服用後24週間の間に出現する口内炎について、発現時期、個数、位置、形状、症状、罹患期間、治療・予防について外来診察、アンケート調査により調査し、さらに外来受診時に唾液採取と口腔粘膜スワブによる粘膜細胞採取により、シロリムスが口腔内環境に及ぼす影響について解析する。
|
Causes of Carryover |
新たにmTOR阻害剤シロリムス服用する患者を対象に服用後24週間の間に出現する口内炎について、外来受診時に唾液採取と口腔粘膜スワブによる粘膜細胞採取により、シロリムスが口腔内環境に及ぼす影響について解析するためと、これまでの研究成果について報告を行うためである。
|