2020 Fiscal Year Research-status Report
カンジダ・アルビカンス細胞表層蛋白を標的としたカンジダ症治療薬開発への新たな試み
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19K10323
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
柴山 和子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60408317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Candida albicans / 口腔カンジダ症 / カンジダ症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の見出した病因真菌Candida albicansの細胞表層タンパクは病原性の強い菌糸形へのスイッチングと口腔粘膜侵入後の増殖機構に寄与しており、カンジダの複雑な病原性発揮メカニズムを探る新たな糸口となり得る可能性を秘めている。この細胞表層タンパクの役割をさらに詳細に明らかにすることは、口腔カンジダ症の進行・重篤化の初期段階での阻止につながり、病原性の抑制および口腔カンジダ症の治療法確立の新たなアプローチになると考えられる。 菌糸形増殖と鉄獲得に着目し細胞表層タンパク遺伝子欠損株を用いた研究を進行中である。 今年度は次世代シーケンサーを活用した解析を行い、口腔カンジダ症発症進行メカニズムの理解と、細胞表層タンパクのカンジダ症治療薬の新規なターゲットとしての可能性を探った。 細胞表層タンパクコード遺伝子欠損株がどのような動態を示すか、酵母形増殖時および血清誘導条件下の菌糸形の各々においてC. albicans野生株と比較するため、RNAシーケンシングを行った。得られたデータのFASTQクオリティコントロール、アセンブリー、マッピングにより得られたリードカウントデータを用いて、発現量を解析した。酵母形と血清誘導条件下の菌糸形を比較し、発現量が有意に増加または減少した発現変動遺伝子を検出した。 また、C. albicansの病原性発揮の際に重要となる菌糸形誘導に関与する新規な生体内因子の探索も加え、多面的な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、C. albicansの鉄利用に関わるタンパクファミリーのメンバーである細胞表層タンパクについて、治療薬開発のターゲットになり得るか評価を行っている。RNAシーケンシング解析により、酵母形増殖時および血清誘導条件下の菌糸形の各々において、C. albicansの野生株と比較し細胞表層タンパクコード遺伝子欠損株で発現変動遺伝子を検出した。 同様のRNAシーケンシング解析を用いて、C. albicansの病原性発揮の際に重要となる菌糸形誘導に関与する新規な生体内因子の探索も新たに加えた。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシーケンシング解析により得られた遺伝子発現データ基に、カンジダ症治療の創薬ターゲット候補の探索を継続する。菌糸形誘導に関与することが示唆された新規な因子についても詳細な解析に着手することにより、口腔カンジダ症発症~進行、重篤化のメカニズムを明らかにするための展開を考えている。 また、C. albicansへの増殖抑制効果が既に確認されているポリフェノール系物質が、C. albicansの細胞表層タンパクを含めた病原性発揮に関連する因子にどのように作用するかも検討するため、RNAシーケンシング解析も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
菌糸形誘導に関与する新規な因子の探索を加え、新たな培養およびRNA抽出の条件検討を行い、カンジダ症モデルを用いた実験準備に至らなかったため、その費用を次年度に使用する。 また、新型コロナウルス感染症の影響を受けて、学会発表旅費等は使用しなかったため、次年度以降使用することとした。
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