2022 Fiscal Year Research-status Report
カンジダ・アルビカンス細胞表層蛋白を標的としたカンジダ症治療薬開発への新たな試み
Project/Area Number |
19K10323
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
柴山 和子 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (60408317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Candida albicans / カンジダ症 / 口腔カンジダ症 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、Candida albicansの病原性発揮に寄与する宿主側の因子に着目し研究を進めた。 宿主生体内において C. albicans の菌糸形増殖および二形成変換に促進的な影響を及ぼすと考えられる候補因子を2種(候補因子①、②)に絞り込んだ。酵母形から菌糸形増殖へのスイッチングに変化が現れる濃度で各候補因子を培地に添加しC. albicansを培養したのち、RNAシーケンシングを行った。 候補因子処理群とコントロール群のサンプルから得られた発現量を比較し、各候補因子処理群において発現量が増加または減少した発現変動遺伝子を検出した。候補因子①においては、コントロール群と比較し8倍以上が328遺伝子、1/8以下が245遺伝子検出された。 候補因子②においては、コントロール群と比較し8倍以上が157遺伝子、1/8以下が397遺伝子検出された。 ここから明らかになった発現変動遺伝子が、本菌の代謝経路や制御系などにどのような影響を与えているかを次年度にかけて詳細に解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
RNAシーケンシング解析により統計的に発現変動を示した遺伝子を抽出できたが、それらの生物学的解釈のためのパスウェイ解析が途上である。 また、C. albicansへの菌糸形増殖抑制効果を確認済みの物質に関して、併行して研究を進めた。菌糸誘導パスウェイ上でキーとなる遺伝子の発現変動は明らかにできた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により、使用が必須となる試薬等の納期遅延のため、予定していたバイオフィルム状態のC. albicansに対する作用を検討するためのSEMによる形態観察が次年度に延期となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
RNAシーケンシング解析により抽出された遺伝子のパスウェイ解析を完了させる。さらに2回のRNAシーケンシング解析を行い、今年度の研究により抽出された遺伝子との相関性の確認を計画している。 C. albicansへの菌糸形増殖抑制効果を確認済みの物質に関して、バイオフィルム状態のC. albicansに対する作用も検討するため、SEMによる形態観察を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受け、原材料の不足および輸入制限から、使用が必須となる試薬等の納期遅延が頻発した。そのため実験自体の停滞・遅延が起こり、定期的な菌株維持・継代に関する費用がメインとなり、支出が予定より極めて少なかった。次年度に順次研究計画を進めて予算を執行する予定である。 また、学会発表旅費等は使用しなかったため、次年度に使用することとした。
|