2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔顔面領域の感覚入力における亜酸化窒素吸入の効果と臨床的応用
Project/Area Number |
19K10341
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (50423976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂山 幸代 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10794480)
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40316154)
人見 涼露 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (70548924) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜酸化窒素 / 吸入鎮静法 / 味覚 / 触覚 / 歯科恐怖症 / 歯科治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜酸化窒素による吸入鎮静法は、鎮静状態や健忘効果そして鎮痛効果を有することから、多くの医療機関で使用されている。吸入鎮静法の聴覚や触覚などへの効果は複数報告されているが、口腔内感覚の味覚や口腔粘膜への触覚への影響は未だ明らかにされていない。よって本研究では、吸入鎮静法がヒトの口腔内感覚に与える影響を調査することを目的とした。健康ボランティア51名を対象として、各濃度の亜酸化窒素での吸入鎮静法下において、味覚検査および触覚検査を行った。結果、吸入鎮静法は電気味覚、ろ紙ディスク法とセメスワインスタインモノフィラメント(SWテスター)の認知閾値を上昇させた。このことから、亜酸化値による吸入鎮静法は味覚や触覚の入力閾値を上昇させることで、歯科治療における歯科恐怖の要因となると考えられる不快な味覚や触覚を制御することが示唆された。 次に口腔内感覚、特に口内炎に対する吸入鎮静法の効果を評価するために、口内炎疼痛の機序ならびに抗癌剤であるシスプラチンによる口内炎疼痛に機序について研究した。本研究では、口腔領域における活性酵素生成により、TRPA1を介した機械的異痛症のような化学療法誘発性神経障害性疼痛を誘導することが判明した。また、好中球貪食活性抑制による抗炎症作用により口腔潰瘍領域の自発侵害受容を抑制するが、N-ホルミルペプチド受容体の活性化による機械的異痛症を増強することが判明した。今後は、亜酸化窒素による吸入鎮静法が、口内炎疼痛、特に抗癌剤由来の口内炎疼痛に有効であるかどうかを検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)