2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K10355
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
加藤 恵三 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40397336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 明 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10242728)
武内 勝章 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30601091)
柴田 敏之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50226172) [Withdrawn]
富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔癌 / メチル化 / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの浸潤・転移においてがん幹細胞の関与が重要な役割を果たすことが明らかになっている。口腔がんのがん幹細胞はCD44+細胞が候補としてあげられ、上皮間葉移行(EMT)による浸潤・転移の促進も明らかにされている。一方、肺扁平上皮癌においてCD44+細胞とPDL1の発現は相関していることが示唆されている。また、肺扁平上皮癌においてPD-L1の発現を検討した結果、PD-L1強発現群に再発がみられ予後因子としての可能性が示唆されている。これまでPD-L1の発現についてメチル化との関わりが多くの領域で報告されており、口腔領域でも関連があることが予想される。PD-L1については周知の通りがん治療の新治療としてヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(nivolumab)が商品化され注目されているが、このnivolumabも万能ではなく、他の制御因子との関連を明らかにすることは重要であると考えられる。 1:口腔がん細胞株においてCD44の発現とEMTの相関について、まず自己所有の口腔がん細胞株(HSC2,3,4, SCC9,SASなど)についてCD44の発現を確認し、EMTマーカーとの相関についても明らかにする。 2:CD44+細胞とPD-L1の相関について確認する。 これまでにCD44+とPD-L1の相関が報告されている。口腔がん細胞株を使用してPD-L1の発現を確認するとともに、制御因子とされる既報告のメチル化の有無について検討する。また、メチル化が確認されれば脱メチル化剤として5-aza-2-deoxycytidineを応用し、脱メチル化作用とPD-L1の関連について検討する。 3:EMTとPD-L1の相関について確認する。 EMTとPD-L1の相関について比較検討をおこないPD-L1の制御因子としてのEMTとの関連を明らかにする。以上の研究が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに口腔がん細胞株(HSC-2,3,4、SCC-9、SASなど)についてCD44+/-細胞について解析する。FACSを使用してCD44+/-細胞の抽出を行いCD44+細胞を選別した後にTGFβ処理によりEMTを誘導、抗Snail抗体・抗E-Cadherin抗体・抗Vimentin抗体を使用した蛍光免疫染色によりEMTの発現について評価をおこない、この研究でまずCD44+細胞がEMTを生じていることの実証を行う。 CD44+細胞においてPD-L1の発現を確認するとともにPD-L1のメチル化も確認する。PD-L1のメチル化の解析は定量的評価が可能なpyrosequence法を応用して行う。メチル化は可逆的な変化であることが報告されているため、経時的に継代培養を行い、おおむね3ヶ月毎に評価を行い、長期培養とメチル化の関連も評価する。この期間にEMTとPD-L1のメチル化が関連しているか、つまりEMTとPD-L1のメチル化に相関関係はあるかという点を明らかにする予定であったが、コロナ禍により薬剤の未供給、あるいは大学に来ることができないなど若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに集積したデータをもとに、各細胞株に脱メチル化剤を投与しPD-L1の脱メチル化を図る。脱メチル化剤はこれまでの研究で使用実績がある5-aza-2-deoxycytidineを使用する。浸潤・遊走能の評価には3D培養スフェロイド浸潤アッセイ(Trevigen, Inc)を使用する。この方法はEMT初期の段階からin vivo腫瘍の表現型に近い状態を再現でき、腫瘍の浸潤を生理的に評価できる方法である。これらの研究で疑問点であるPD-L1のメチル化発現の上昇とCD44+細胞の減少の相関関係(逆相関?)が明らかになる。また、PD-L1の脱メチル化により転移が増えるのかというもう一つの疑問も明らかにできる。これらの検討によりCD44+細胞とEMTの関連が明らかになり、制御因子としてのPD-L1の関わりも明らかになると予想される。さらに免疫チェックポイント阻害剤であるnivolumabを応用することでがん細胞の増殖・浸潤能についても検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究に若干の遅れが生じ、そのために次年度使用額が生じた。しかし今年度で研究は遂行が可能であると考えている。
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