2021 Fiscal Year Research-status Report
舌痛症患者における疼痛調節機構とレスティングステートの変化について
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19K10368
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
篠崎 貴弘 日本大学, 歯学部, 講師 (50339230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 修 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50302716)
今村 佳樹 日本大学, 歯学部, 教授 (90176503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 咀嚼筋筋膜痛 / MRI / コネクティビティ |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔に慢性的に疼痛の生じているBMS患者群と疼痛の無い健常者に対し、侵害熱刺激・非侵害熱刺激による脳の賦活を計測した結果、BMS群右側手掌に与えた条件では背側帯状皮質、前運動野・補足運動野、島皮質、上側頭回、角回、視覚連合野、前頭野に強い賦活が見られた。 同条件でBMS群右側下口唇に与えた結果では、一次視覚野、前運動野・補足運動野、前頭前野背外側部、視覚連合野、紡錘状回、前頭前野、二次視覚野、腹側前帯状皮質、海馬旁回に強い賦活が見られた。脳体積の変化では、VBMの結果からBMS患者は、背側前帯状皮質、島皮質、前頭前野背外側部、眼窩前頭野、膝下野、中側頭回、縁上回、扁桃体、海馬に健常者に比較し脳体積が萎縮していた。これらの部位は、情動系と疼痛に関連する脳部位に萎縮が見られた。 次にこれら部位に関してconn17fによる基底状態の変化は、帯状皮質と島皮質、帯状皮質と紡錘状回、後帯状皮質と紡錘状回、後帯状皮質と淡蒼球、補足運動野と視床のネットワークによる神経回路的な結びつきが減少した。 これらから、舌痛症患者は疼痛修飾に関連する経路や感覚・認知に関する部位およびネットワークに変化が起こり、慢性的な疼痛発現が生じていると考えられる。また、上記部位は疼痛に関連する部位であり、脳体積の変化も見られた。また、BMS群に施行した心理テストPOMSの結果から、BMS群には健常者に比較し、鬱傾向および不安のスコアが高い傾向にあった。この鬱と不安に関与する脳部位は、帯状皮質、島皮質であり、VBMの結果および認知ネットワークの結果と相関していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19感染症の蔓延により、被験者のリクルートが行えなかった。また、MRI撮像は学外であり、遠隔での研究活動が出来なかったため、当初の計画を遂行できなかった。 Covid-19蔓延前までに撮像できたMRIデータについて、当初計画した解析を行っている。また、リクルートできなかったデータ数を補うため、新たな解析手法を導入する予定である。これは、FSLを用い、現在基礎設定を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画では、被験者は40名以上撮像、解析する予定であった。しかし、Covid-19感染症蔓延にて、達成できなかった。このため、データ数減少による解析結果の損失を考慮し、他の解析方法を追加する。研究計画立案時では、VBM、SPMおよびConnによる解析であったが、これらに加えFSL、free surferの解析を追加し、多方面から解析を行うこととする。 FSLでは、脳ネットワークの構成に関して解析し、free surferでは、脳機能部位毎に脳体積を評価し、それぞれの関連性を探索していく予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19蔓延により、研究計画通りに研究が遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、今まで得られたデータを新たな手法により解析を行う予定である。この解析手法は、FSLとfree surferであり、このソフトはOSとしてLinuxを用いる。 そのために、解析用Linux専用機を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)