2021 Fiscal Year Annual Research Report

海藻由来薬効成分フコイダンの口腔医療への新たな応用

Research Project

Project/Area Number	19K10369
Research Institution	The Nippon Dental University
Principal Investigator	岡俊哉日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (90213909)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	今井あかね日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 教授 (60180080)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	フコイダン / エンドトキシン / シクロオキシゲナーゼ / コラゲナーゼ
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は、有用生物材料であるフコイダンをあらたに口腔医療へ応用すること（口腔がん治療・抑制、病変部位の早期修復、口腔内衛生環境の改善）を強く後押しする、確かな細胞生物学的根拠を得ることである。フコイダンの有効性を口腔医療応用を推進するという形で社会に貢献するために本研究は立案された。フコイダンの作用機序という命題に応えるため、①エンドトキシン中和活性試験ではフコイダンはエンドトキシンを中和することを示すデータが得られた。歯周病菌による口腔内エンドトキシンの中和による全身状態の改善を説明する一助となり得る。②非ステロイド系抗炎症剤の標的酵素であるシクロオキシゲナーゼ（COX）阻害活性試験において、フコイダンがCOX-1、COX-2の活性阻害を示す結果が得られた。③分子量、精製度によって活性の異なる3種のフコイダンの作用機序に迫るためにフコイダンのヨウ素分析を行った。最終年度は以下の実験を実施した。④フコイダンの示す有用な生理活性検索の一つとして、コラゲナーゼ； MMPs阻害活性を調べ、フコイダンが皮膚老化の予防に役立つという実験結果をコラゲナーゼ活性で裏付ける結果を得た。⑤ヒト口唇由来線維芽細胞、ヒト舌癌原発巣より得られた低分化型扁平上皮癌細胞株 (SAS細胞)を用い、フコイダンの細胞毒性試験を実施した。フコイダンは通常細胞に示すよりもがん細胞の増殖を抑制する作用が強かった。⑥創傷治癒アッセイを行い、フコイダンをSAS細胞の培地に添加した場合にはスクラッチ部分の修復が正常培地よりも遅れる傾向があることがわかった。①から③までの結果は歯科医学専門国際英文雑誌Odontologyで英文論文として発表した。また①から④までは生化学会、歯科基礎医学会で発表済みであり、これらを和文総説としてまとめ、日本歯科大学紀要に発表した。