2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満および脂質異常症による術後痛増強メカニズムの解明
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19K10370
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
城戸 幹太 神奈川歯科大学, 歯学部, 診療科講師 (40343032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肥満 / 術後痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多くの肥満患者において、術後痛が悪化・遷延し生活の質が損なわれていることが明らかとなってきた。しかし、なぜ肥満者は術後の痛みが増強・遷延するのか、その詳細なメカニズムはほとんど分かっていない。本研究では、高脂肪食摂取肥満ラットの術後痛モデルを用いて、このメカニズムの解明を目指す。本年度は、①Wistarラットに高脂肪食を与えて、体重及び体脂肪率を経時的に測定し肥満ラットモデル成立を確認、②高脂肪食摂取ラット(高脂肪食群)および通常食摂取ラット(コントロール群)を用いて、Brennan足底切開モデルによる術後痛の行動学的評価(自発痛反応、熱刺激逃避行動、機械刺激逃避行動)を行い、肥満の術後痛に対する影響を検討、③ in vitro nerve preparationを用いた一次神経終末の侵害受容感作修飾過程の電気生理学的検討、を行ってきた。①においては、40%高脂肪食を摂取させることで、生後約10週でコントロールに比べ有意に体重が増加し、体脂肪量も増加した。そこで、生後12週目を目安に②の手術モデルを作成し疼痛行動評価を行ったところ、高脂肪食群は、自発痛の増強があり、また術後痛覚過敏がコントロール群の1週間に比べ3週間有意に持続することが分かった。熱に対する逃避行動に違いは見られなかった。現在、③を検討している段階であり、この痛覚過敏状態が末梢神経の感作によるものなのか、中枢性感作によるものなのかもしくは両者によるものなのかを検討している。今後は、電気生理学的検討に加え、遺伝子発現を含めた免疫組織学的検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究実施計画に記載通り、①Wistarラットに高脂肪食を与えて、体重及び体脂肪率を経時的に測定し肥満ラットモデル成立を確認、②高脂肪食摂取ラット(高脂肪食群)および通常食摂取ラット(コントロール群)を用いて、Brennan足底切開モデルによる術後痛の行動学的評価(自発痛反応、熱刺激逃避行動、機械刺激逃避行動)を行い、肥満の術後痛に対する影響を検討、③ in vitro nerve preparationを用いた一次神経終末の侵害受容感作修飾過程の電気生理学的検討、を順調に行っており、概ね予定通りの進行状況となっている、
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画のとおり、順調に進行している。今後は、次世代シークエンサを用いた遺伝子発現網羅的解析法を用いて、肥満によって特異的に発現する術後痛関連遺伝子は何か、またタンパクは何かを検討し、研究が順調に進んだ場合は それらのアンタゴニスト投与もしくはマクロファージ除去による術後痛の軽減効果をラットモデルで確認する。 以上を計画的に進めていくことで、肥満がなぜ痛みを増強するかの一端が解明できると考えている。
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Causes of Carryover |
本年度中の必要物品の残額での購入は不可能であったため、次年度予算と併せて使用する。
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