2020 Fiscal Year Research-status Report
肥満および脂質異常症による術後痛増強メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K10370
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
城戸 幹太 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40343032)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 肥満 / 術後痛 / 単一神経記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、ラット肥満術後痛モデルを作成して行動学的評価を行い、コントロール群に比べ肥満群では術後痛が増強、遷延化することが分かった。本年度はin vitro skin-nerve preparation を用いた単一神経記録により、一次神経終末の侵害受容感作がどのように生じるかを電気生理学的に観察した。また、肥満による術後痛遷延のメカニズム解明のため、遷延性術後痛モデルを新たに作成し、脊髄におけるいくつかの遺伝子発現についても検討を行った。足底皮膚-後脛骨神経標本による電気生理学的検討では、コントロール群と肥満群の比較において、非手術時には一次神経終末侵害受容器の機械刺激および熱刺激に対する反応性に差は無かった。一方手術後4日における反応では、肥満群の方が機械刺激、熱刺激における活動電位発生閾値が低下する傾向が見られた。現在統計学的解析を行うべくさらに研究を進めるとともに、C線維およびAδ線維それぞれの反応性の違いについても検討を行っている。また、長期に術後痛が持続するSMIR(Skin/Muscle incision and retraction)モデルを作成し、遷延性術後痛の機序の1つと考えられるNMDA受容体をターゲットに行った研究では、NMDA受容体のサブタイプであるGRIN1 mRNAの増加が認められ、これをマグネシウムが抑制することを発見した(Biochem Biophys Res Commun. 2021 1;534:395-400)。今後、電気生理学的検討を完成させ、さらに脊髄、脊髄後根神経節における網羅的遺伝子発現解析を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定してた電気生理学的実験は順調に進行しているが、さらに詳細に検討するために例数を増やし、統計学的解析を行う予定である。一方、術後痛遷延のメカニズムの一端を解明するために新たに実験系を立ち上げ、結果を国際誌に発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
電気生理学的検討を完成させ、さらに脊髄、脊髄後根神経節における網羅的遺伝子発現解析を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の研究に際して必要な支出を行ったところ、若干の次年度使用分が生じた。次年度分と合わせてすべて使用予定である。
|
Research Products
(2 results)