2021 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶カテキンを利用した新規生活歯髄切断材料は作れるか~歯髄作用機構の解析から~
Project/Area Number |
19K10374
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 光一 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (50580932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 薫明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40374566)
八若 保孝 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (60230603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活歯髄切断 / EGCG |
Outline of Annual Research Achievements |
生活歯髄切断(生切)材料はホルモクレゾール(FC)が多く用いられてきたが、FCの発がん性が指摘されて以降、日本では水酸化カルシウムが主に用いられている。一方で水酸化カルシウムはFCと比較して効果が弱く、臨床的な予後は不安定である。本研究は緑茶カテキンの主成分であるエピガロカテキンガラート(EGCG)を用いて、抗炎症作用、石灰化誘導作用を有する生活歯髄切断材料を開発することを目的とする。本研究では試作材料をラット歯髄に作用させ、組織学的評価や分子生物学的評価を行った。6週齢のSDラットの第一臼歯に生切を行い、覆髄材料には水酸化カルシウム製剤であるカルビタール、カルビタールにEGCGを添加したものを使用した。覆髄材料を使用せずにCR充填したものをコントロールとした。コントロールは1週後には歯髄は生活状態であったものの、炎症性細胞浸潤が強く認められ、1か月後には歯髄壊死していた。カルビタールは1週後には炎症性細胞浸潤は認められたものの、軽度であった。また、象牙芽細胞層への影響は認められなかった。一か月後では一部歯髄壊死が認められた。カルビタール+EGCGは1週後には炎症性細胞浸潤が軽度に認められた。一か月後には一部歯髄壊死が認められたものの、二次象牙質の形成が認められた。以上よりEGCGには硬組織誘導能があることが示唆された。In vitroにおいて、抗炎症作用を評価した。マウス由来のマクロファージ様細胞であるRAW264.7細胞を使用し、ELISA法でプロスタグランジンE2(PGE2)産生量を測定した。LPS刺激によりPGE2産生量は24時間後、48時間後で著しく増加した。EGCGによりそれらの増加は抑制された。HEMAの刺激により、48時間後におけるPGE2産生量は増加したが、EGCGによりその増加は抑制された。以上より、EGCGは抗炎症作用を有することが示唆された。
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Research Products
(1 results)