2021 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖による頭蓋顎顔面形態形成の制御機構の解明―新たな診断法・治療法の基盤構築―
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19K10380
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 綾香 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20635403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬伏 俊博 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (30550941)
黒坂 寛 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (20509369)
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70294428)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | へパラン硫酸合成酵素 / 代謝異常 / 不正咬合 / 頭蓋顎顔面の形態異常 / 口唇口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究結果から、へパラン硫酸の欠失が神経堤細胞由来組織での細胞死の増加と細胞増殖の低下を引き起こすことで頭蓋顎顔面形態の形成異常が発症することが示唆された。そこで本年度は、RNAseq解析でヘパラン硫酸の欠失により影響を受けるパスウェイの網羅的探索したところ、Ext1-CKOにおいて、顔面突起の細胞増殖と細胞死と関与するWntシグナリングが重要であることがとわかった。そのため、ヘパラン硫酸の欠失に伴うWntシグナリングの低下により頭蓋顎顔面形態の形態異常が生じることを検証するために、顔面突起の癒合において重要な遺伝子であるMSX1, FGF8, Axin2の発現の局在を解析した。その結果、MSX1およびAxin2の発現はExt1-CKOの顔面突起部位で低下していることがわかった。一方、上皮組織に特異的に発現する遺伝子であるFGF8は著明な変化を認めなかった。次に、Wnt/β-cateninシグナリングのシグナル伝達において、中心的な働きを担う分子であるβ-cateninをコードするCtnnb1遺伝子の欠失マウスとのgenetic interaction実験を行うことで、Ext1遺伝子異常とWnt/β catenin シグナリングの直接的な関与について検証したところ、Ext1ヘテロとCtnnb1ヘテロの交配では著明な表現型は認めなかった。 RNAseq解析の結果は、ヘパラン硫酸の欠失が細胞の接着・遊走と関連するFocal adhesionの異常を引き起こすことも示唆したため、ヘパラン硫酸の欠失が神経堤細胞の遊走能に与える影響を検討した。神経堤細胞株であるO9-1細胞を使い、in vitroで検証したところ、野生型に比べExt1-CKOのほうがスクラッチ領域の閉鎖が遅いことが判明した。このことから、Ext1-CKOではO9-1細胞遊走能が低下していることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)