2020 Fiscal Year Research-status Report
I型インターフェロンが顎顔面の形態形成に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K10381
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早野 暁 岡山大学, 大学病院, 講師 (20633712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川邉 紀章 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (00397879)
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30377428)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Singleton-Merten / I型インターフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の実績として、I型インターフェロン(IFN)の機能亢進による全身性骨形成不全の発生機序を解明するため、Singleton-Merten Syndrome (SMS)患者および対照群となる健常患者の抜去歯から間葉系幹細胞を単離し、骨芽細胞への分化を試みた。さらに、健常患者の抜去歯から単離した間葉系幹細胞にI型IFNのリコンビナントプロテイン(IFN-alfa-2a, IFN-alfa-2b, IFN-beta)を添加した状態で骨芽細胞への分化を試みた。どちらの実験系でもI型IFNが亢進している群(SMS群、リコンビナントタンパク添加群)において、重度の骨芽細胞への分化抑制が認められ、さらにこの骨芽細胞への分化抑制は特にIFN-betaにおいて著しいことが分かった。研究開始段階の仮説ではp53細胞死経路の活性が原因であると考えていたが、予想に反してp53細胞死経路の活性化はI型IFN亢進群では見られなかった。 令和2年度は、I型IFN受容体がJAK1, JAK2と結合することからJAK/STAT経路に着目し、研究を進めた。この結果、非常に興味深いことにI型IFNが亢進している群(SMS群、リコンビナントタンパク添加群)にJAK1/JAK2選択的阻害薬を添加した場合、骨芽細胞への分化抑制を有意に改善できることがわかった。さらに、骨芽細胞分化培地中で培養した間葉系幹細胞のタンパクを抽出し、ウエスタンブロッティング法を用いて、MLKLのリン酸化を観察した結果、I型IFN亢進群ではリン酸化MLKLが有意に亢進し、ネクロトーシスの状態に陥っていることが示唆された。 これら実験からSMS患者の臨床所見である骨形成不全には、JAK/STAT経路を介したネクロトーシスが関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Singleton-Merten Syndrome患者の臨床所見である進行性骨吸収の分子機構の解明に関して、これまでに報告されていない新たな可能性を見出すことができた。また、破骨細胞に対するI型インターフェロンの影響を検討する為、マウス骨髄細胞を用いた破骨細胞の分化誘導を現在行っている。これらのことからこの研究の進捗状況としては、概ね順調に進展しているということが言える。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞に対するI型インターフェロンの影響を解析する為、JAK/STAT経路に着目した破骨細胞の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当該年度に高額試薬購入予定であったが、予算が足りなかった。そのため次年度予算として繰越し、試薬を購入することとした。
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