2019 Fiscal Year Research-status Report
蛍光イメージングを利用した小児の歯髄炎の概日リズム判定
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19K10394
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
西出 真也 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 講師 (40451398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 概日リズム / 蛍光イメージング / 口腔保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス歯髄の炎症反応にみられる概日リズムを測定するための予備実験として、培養細胞株を用いて炎症マーカー分子の活性をFRETバイオセンサーにて定量した。FRETとは2種の蛍光タンパク質が近接した際に起こる分子間のエネルギー移動現象であり、炎症マーカーの活性化を検出できるように設計されたバイオセンサーを細胞に発現させた。その結果、炎症マーカーの炎症惹起物質への反応には時刻依存性があることが示された。この時刻依存性は時計遺伝子を欠失した概日リズムを示さない細胞にはみられなかった。動物組織にバイオセンサーを導入することを目指し、バイオセンサーの改良を行い、炎症マーカーの発現を定量できることを確認した。 マウスの概日リズムを赤外線センサーによって24時間行動測定するシステムを構築した。マウスをケージごとに個別に照明条件を変えられる箱に入れ、タイマー制御で照明のオン・オフをすることができる。マウスの行動は上記の箱の中で、ADInstruments社のPowerLabをActimetrics社のClockLabソフトウェアを用いて制御することにより連続測定し概日リズム特性を解析できる。現在2匹のマウスの行動を赤外線センサーにて測定、あるいは1匹のマウスの行動を赤外線センサーと回転リン活動の同時測定が可能である。また、サーモグラフィーを用いてマウス体温(表層温)を測定し、体温の概日リズムを確認した。 定量的RT-PCR用時計遺伝子プライマーを設計し、マウス副腎組織の時計遺伝子発現を計測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心となる蛍光イメージングを用いた炎症反応の概日リズム測定のシステムをすでに立ち上げた。また、赤外線センサー、回転輪活動を用いたマウスの行動測定およびサーモグラフィーによるマウスの体温測定を行い、それぞれ概日リズムを確認した。歯髄組織の概日リズムを測定するための定量的RT-PCRの準備も整った。以上より、研究計画はおおむね順調に進展していると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス切歯より歯髄を採取し、時計遺伝子発現を定量的RT-PCR法にて計測する。歯髄リズムと行動リズムとの位相(時刻)関係を解析し、歯髄リズムの特性を明らかにする。マウス概日リズムをモニターし、活動期や休息期など、様々な時点で歯髄を採取しMAPK活性を調べる。採取した歯髄組織を初代培養し、レンチウィルス等を用いてMAPKバイオセンサーを導入する。蛍光顕微鏡にてタイムラプス観察し、歯髄のMAPK活性の炎症刺激に対する反応を解析する。 12時間照明オン、12時間照明オフの24時間周期の下で飼育されたマウスの照明を8時間後ろにずらす。この操作によりマウスに人工的に時差ぼけを起こした後、歯髄組織を採取しRT-PCRによる時計遺伝子発現解析およびバイオセンサーによるMAPK活性測定を行う。また、照明を8時間前にずらし、同様の測定を行う。また、同時に測定できるマウスの数を増やす予定である。 学習障害のモデルとして、BDNF(脳由来神経栄養因子)ノックアウトマウスなどの遺伝子組み換え動物を導入し、行動測定、時計遺伝子発現、MAPK活性測定を行う。
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Causes of Carryover |
発注した消耗品の取り寄せに時間がかかり、納品が次年度になったため。この納品の遅れによる研究計画への影響はない。
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