2020 Fiscal Year Research-status Report
異常なエピジェネティック制御機構が引き起こす口蓋裂発症メカニズムの解明
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19K10398
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (50585221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エピジェネティック / 口蓋裂 / ヒストンメチル化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇裂・口蓋裂は、600人に一人と高頻度に認められる先天異常疾患である。遺伝的要因と環境要因との相互作用によって発症する多因子疾患であるが、発症メカニズムは未だ不明な点が多い。近年、エピジェネティックな変化が疾患の発症要因になっていることが報告されているが、口唇裂・口蓋裂を始めとした顎顔面領域における先天異常疾患とエピジェネティックな変化についての報告は少ない。本研究は、神経堤細胞にのみヒストンメチル化酵素Setdb1をノックアウトさせ、口蓋裂を発症させたマウスを実験モデル(Setdb1 CKO) として用い、特に口蓋におけるSetdb1を中心としたエピジェネティックな遺伝子制御メカニズムについて研究を進めている。 当該年度は、Setdb1のターゲット遺伝子の同定を中心に行った。行った研究は以下の3点である。1)口蓋から十分量のRNAが採取できるかの検討(前年度から継続検討中)、2口蓋由来の間葉細胞にSetdb1をknockdownさせ、口蓋発生に重要な遺伝子群の変化を検討する、3)軟骨細胞にも表現系があるため、増殖能を中心に軟骨細胞においてのSetdb1の役割を検討する。 1) Setdb1 CKOの口蓋は極めて小さいため、表現型が発現する少し前のステージの場合、十分量なRNAが採取できなかった。2) siRNAを口蓋由来の間葉細胞にトランスフェクションしSetdb1をknockdownさせRNAを抽出後、qPCRにて口蓋発生に重要な遺伝子群の変化を検討した。変化があった遺伝子に対しては、in situ hybridization法にて確認を行っている。3)軟骨細胞ATDC5のSetdb1をノックダウンさせたところ、増殖能が上昇するに伴い、PTHrPレセプターの発現が上昇した。この変化は、Aktのリン酸化が少なくとも必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的な解析は行えていないものの、口蓋発生に重要な遺伝子の発現変化を確認できた。一部の遺伝子に関しては、in situ hybridization法にてSetdb1 CKOの切片でも同様な変化が確認でき、ターゲット遺伝子の候補として絞り込みが達成された。また、その他の表現型の発症メカニズムの解明も進み、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
同定された遺伝子が直接Setdb1に制御されているかどうかの検討をクロマチン免疫沈降法を用い検討する。同時に、網羅的な解析が行えるよう、サンプルの増量等の実験方法の検討を進める。
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Causes of Carryover |
概ね予定通りの仕様となった。余分をもたせ使用した結果、111,834円の余剰となった。
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Research Products
(1 results)