2019 Fiscal Year Research-status Report
硝子様変性と破歯細胞活性を標的にしたHIF-1α阻害による歯根吸収抑制機構の解明
Project/Area Number |
19K10407
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
橋本 恵 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (80724517)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
佛坂 斉祉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (90199513)
近藤 崇伸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (20814106)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 歯根吸収 / HIF-1 / 歯の移動 / 矯正力 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正力負荷時の圧迫側の歯根膜組織は、血管が圧縮され血流の供給が減少することから低酸素環境になる。近年、歯根吸収発症の過程には、その低酸素環境に起因する硝子様変性(虚血性細胞死)と、破骨細胞・破歯細胞の分化・活性化が深く関与していることが明らかになってきた。しかし、その分子生物学的な原因や経路はほとんど分かっていない。我々は、低酸素環境で活性化する転写因子;HIF-1α(hypoxia inducible factor 1 alpha)が、虚血性細胞死の誘発機能のみならず、破歯細胞分化・活性化の促進機能を有することから、その阻害が歯根吸収の抑制に働く重要なファクターとなりうる可能性を考えた。本研究では、実験動物を用いて、歯根吸収へのHIF-1αの関与を硝子様変性(虚血性細胞死)と破歯細胞活性化機構の両面から検証し、HIF-1α阻害剤の歯根吸収抑制の検証とそのメカニズムを調べる。 本年度に行ったことは、ラット(10週齢)を用い、上顎第1臼歯-切歯間に矯正装置を装着し、上顎第1臼歯を牽引した。牽引後に、マイクロCTおよびレーザー査型顕微鏡撮影を行った。また、組織標本を作製し、HE染色、TRAP染色およびTUNEL染色を行った。その結果、硝子様は矯正力が強く作用する部分でおこり、また、歯根膜の圧迫部位でおこっていることがわかった。その圧縮率は80パーセントを超えると顕著にみられることがわかった。TRAP陽性細胞は歯根吸収部位で顕著に認められた。しかしながら、TUNEL染色とHIF-1α抗体による染色により疑陽性細胞は認めるものの断定するには至っていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおりに進んでいる。本研究の重要な点であるTUNEL染色とHIF-1αは現在のところ疑陽性であるが、矯正力負荷の時間と幾つかのキットを試して進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、矯正力負荷の時間と日数を変えて、検討を行う。また、検出するためのいくつかのキットを試して研究をすすめる。
|
Causes of Carryover |
使用予定のキットが安価になったことと、その他消耗品の金額が安価になったことなどがあげられる。使用計画としては、動物実験での追加実験と次年度の実験費用に上乗せすることとを考えている。これらにより母数が増え、結果を確実なものにすることができるものと考えている。
|