2019 Fiscal Year Research-status Report
炎症性メディエーターの動態が食道知覚の変化とブラキシズムの発症に与える影響の解明
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19K10409
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 綾 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (10457666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 泰彦 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (40780002)
古川 みなみ 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00806474)
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (80295807)
菅 真有 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (50779973)
上村 修司 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (60448561)
井戸 章雄 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30291545)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食道内酸刺激 / ブラキシズム / 精神的ストレス / 咬筋活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初、胸焼け等の食道知覚と咬筋活動との関連を調査する予定であったが、まずは、食道知覚の影響を受けにくい注入量で食道内酸刺激を行った場合の咬筋活動の影響を検討した。同時に、覚醒時ブラキシズムと関連する精神的ストレスについても検討した。 具体的には、食道内酸刺激および覚醒時にストレスを惹起する計算タスクの介入を行い、これらの介入が咬筋活動を増加させ、自律神経活性を変化させるかどうかを調べた。その結果、食道内酸刺激は副交感神経活動の変化をもたらし、咬筋活動を明らかに増加させることが示唆された。一方、精神的ストレスは副交感神経活動への影響が認められたが、わずかに咬筋活動と交感神経活動を増加させたのみであり、日中の咬筋活動の増加には、精神的ストレスよりも酸刺激の方が重要な因子である可能性が示唆された。さらに、咬筋活動の増加と自律神経活動の変化のタイミングは食道内酸刺激とストレスで異なるため、咬筋活動の増加のメカニズムは食道内酸刺激とストレスで異なることが示唆された。今回の酸の注入量は1m/分と少なく、胸焼け等の症状は、酸の注入の有無で有意差は認められなかったことから、食道知覚が関与しない場合でも、食道内酸刺激により、咬筋活動が増加する可能性が示唆でれた。本研究内容は、国際誌であるJournal of Oral Rehabilitationに受理され、掲載予定である。 また、当初の計画どおり、消化器疾患やブラキシズムの調査を行うとともに、上部消化器疾患の精査のための内視鏡検査を行い、食道知覚試験の被験者選定を行った。今後食道知覚が関与する酸注入量において食道内酸刺激(酸環流試験)を行い、食道知覚と咬筋活動への影響を検討する予定である。 なお、下顎運動など顎口腔機能が改善した外科的矯正治療患者の症例報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃食道逆流をモデルとした食道内酸刺激および覚醒時にストレスタスクの介入を行い、これらの介入が咬筋活動を増加させ、自律神経活性を変化させるかどうかを調査した。当初の研究では、酸環流試験による食道内酸刺激を行い、胸焼け等の食道知覚と咬筋活動との関連を調査する予定であったが、まずは、食道知覚の影響を受けにくい注入量で食道内酸刺激を行った場合の咬筋活動の影響を検討することとなった。結果では、胸焼け等の自覚を伴うことはない状態における食道内酸注入時でも、咬筋活動が増加することが示唆され、今後行っていく酸環流試験の結果と比較することで、食道知覚の咬筋活動への影響が明らかになることから、意義のある結果である。この研究の内容は、国際誌であるJournal of Oral Rehabilitationに受理され、掲載予定である。 また、当初から予定していた消化器疾患やブラキシズムの調査は順調に行われており、上部消化器疾患の精査のための内視鏡検査を行い、食道知覚試験の被験者選定を行っている。以上より、多少の研究内容の変更はあるものの、研究は順調に遂行している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
疫学研究における消化器疾患やブラキシズムの調査は順調に行われており、今後対象者をさらに増やして、これらの関連を検討する予定である。さらに、上部消化器疾患の精査が必要な場合は内視鏡検査を行い、食道知覚試験(酸環流試験)の対象者選定を引き続き行う予定である。酸環流試験では、食道知覚、咬筋活動、自律神経活動、唾液中の炎症性メディエータの動態について検討し、食道知覚とブラキシズムとの関連を解明する。現在、酸環流試験の対象者の選定を一部終了し、本試験の準備段階であり、今後本試験を遂行予定である。しかし、対象者は未だ少ないことから、疫学調査の対象者を増やして、酸還流試験を行う参加者を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画では、疫学調査と酸環流試験を開始予定であったが、臨床研究倫理委員会の最終決定に時間を要したため、また、酸環流試験よりも少ない酸注入量でも研究を先行させたため、酸還流試験は次年度に本格実験を行う予定である。また、疫学研究の対象人数も予定より少なかった。そのため、次年度の研究費と合わせて、研究遂行のために使用する必要がある。
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