2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子による生体疑似環境下でのエナメル様構造の材料工学的な形成と抗菌性の獲得
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19K10410
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20305915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペプチド / バイオアクティブガラス / ナノ粒子 / 再石灰化 / エナメル質 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体におけるエナメル質の形成では、ミネラル成分の存在に加え基質タンパクが結晶の形成と成長に重要な役割を果すことが知られている。本研究では、バイオアクティブガラスナノ粒子(BGnp)とオリゴペプチドを創製し、それらの形態、構造、表面特性を調べ、ペプチドとBGnpの複合体を用いた生体疑似環境下でのエナメル様構造の材料工学的な形成を試みることを目的とした。構造が異なる数種類のペプチドを合成し、核磁気共鳴分析 (NMR)法とフーリエ変換赤外分光分析(FTIR)により構造解析を行った。ハイドロキシアパタイトの石灰化における影響をFTIRで評価した。得られた石灰化物について、エックス線回折法(XRD)による結晶構造解析と走査型電子顕微鏡(SEM)による構造解析を行った。グリシン、プロライン、グルタミン酸およびピリジン環より構成されるフォルダマーペプチドが、カルボキシル基末端とアミノ基末端におけるイオン相互作用により、アパタイト形成において効果的な相互作用を示した。P11とP12のピリジン環がペプチドとイオンの相互作用に重要な役割を果たしたことが考えられた。これらのペプチドと結合させるBGnpとして、3種類の組成(シリカベース、ボロンベース、リン酸塩ベース)を有するBGnpをゾルゲル法にて合成し、フォルダマーペプチドによるBGnpの表面改質を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における実験は、主に北海道医療大学所有の研究設備を用いて行っている。しかしながら、一部の特性評価については、北海道大学オープンファシリティと公立千歳科学技術大学ナノテクノロジープラットフォーム事業等、外部施設の機器も併用しており、これらの施設において、外部ユーザーに対する新型コロナウイルス感染拡大状況に応じた利用制限があったことから実験に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
フォルダマーペプチドと結合させたBGnp複合体について、詳細な特性評価を行うことに加え、ヒトエナメル質に対する再石灰誘導能を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(8150円)については消耗品として使用する予定である。
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