2019 Fiscal Year Research-status Report
上顎正中過剰歯の発症を予測可能な遺伝子マーカーの検出
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19K10413
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
清水 武彦 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (40328761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上顎正中過剰歯 / 遺伝要因 / 一塩基多型 / SNP |
Outline of Annual Research Achievements |
上顎正中過剰歯が原因となり、永久歯の萌出障害、歯列不正などを生じる。 従って、上顎正中過剰歯を早期に診断、治療するために発症要因を探索することは重要である。 上顎正中過剰歯は家族性に発症することがあり、遺伝要因の関与が強く示唆されている。しかし、発症の原因は未知である。 令和元年度は、動物モデルにおいて上顎過剰歯の発症に関与するLRP4 (low density lipoprotein receptor-related protein 4) 遺伝子の一塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)をヒトにおいて調査することにより、 LRP4が上顎正中過剰歯の発症に関与するかどうかを調査した。本学部倫理審査委員会の承認を得て実施した。被験者として、 家族性に上顎正中過剰歯を発症した者23人を上顎正中過剰歯群とし、 コントロール群は、上顎正中過剰歯がなく家族歴も無い者23人とした。 ゲノムDNAの抽出は、 治療のために抜去した上顎正中過剰歯に付着した軟組織、 または唾液から得た。ヒトにおいてもLRP4遺伝子の存在が確認されたため、 LRP4遺伝子内の日本人高頻度のSNPsであるrs10838623、rs2306033、rs6485702、rs898604を用い、Taqman PCR法にてジェノタイピング解析を行った。 結果として、4つのSNPのアレル頻度において、正中過剰歯群とコントロール群の間に統計学的な有意差は認められなかった(rs10838623, P=0.13, rs2306033, P=0.06, rs6485702, P=0.06, rs898604, P=0.13)。コントロール群における5つのSNP頻度はHapMapデータベース上の日本人の頻度と近似値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の報告において、Lrp4遺伝子の変異マウスには、上顎切歯部に過剰歯を発症することが報告されており、この遺伝子はヒトにも存在することから、ヒトの上顎正中過剰歯発症の原因になり得ると仮説を立てた。研究対象の上顎正中過剰歯群と健常者群において、Lrp4遺伝子内のSNPの頻度を調査したところ、統計学的有意差は認められないものの、示唆的に差があるデータが得られたため、Lrp4遺伝子を今後さらに調査する根拠が得られたと考えれらる。
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Strategy for Future Research Activity |
上顎切歯部過剰歯を有するマウスモデルにおいて過剰歯発症との関連が報告されているLrp4、Sostdc1、 Cebpb、 Pax6などの遺伝子内の領域から、Hapmapデータベースで日本人頻度が20%以上あり統計分析が可能なSNPを、複数選択し、調査する。また、過去に上顎正中過剰歯発症に関与が示唆されている染色体領域や遺伝子をターゲットとし、遺伝子内の領域から、統計分析可能な複数のSNPを選択し調査することも検討する。今後、対象者数を増ややし、令和元年度に調査したSNPも再調査を実施する。
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