2021 Fiscal Year Research-status Report
矯正的歯の移動に伴う炎症性疼痛に対する補完代替医療:食品成分による緩和の検討
Project/Area Number |
19K10415
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
武田 守 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (20227036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 徳人 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (10297947)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯科矯正 / 痛覚過敏 / 補完代替医療 / 食品成分 / 鎮痛薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、矯正装置を装着後、実験的歯の移動に伴う「炎症性・異所性痛覚過敏」が「イソフラボン」により歯の移動を損なわず緩和される可能性を行動学・形態学・電気生理学的に解析することで、歯科臨床領域に補完代替医療を応用する基礎的知見を取得することを目的としている。本年度は、前年度同様に①矯正装置装着群 (Experimental tooth movement: ETM群),②対照群,③ETM+イソフラボン投与群の3群のラットにおいてペントバルビタール麻酔したラットを脳定位固定装置に固定後、外科的に三叉神経脊髄路・尾側亜核(SpVc)領域を露出した。この部位に微小ガラス記録電極を刺入し、左側顔面口髭部分にvon Frey filamentsを用いて機械刺激(侵害、非侵害)を与えて,これに応じる広作動域(WDR)ニューロン活動を交流アンプで導出しオシロスコープにモニターした。その後, A/Dコンバーター(Power Lab)とPCを用いてポストステミュラスヒストグラムを作成して、自発放電及び機械的刺激に対するスパイク放電頻度を定量的に解析した。ETM群は対照群に比較してSpVcWDRニューロンの非侵害・侵害刺激に対する放電頻度の増強、すなわち異所性痛覚過敏に関わる現象が確認できた。ETM+イソフラボン投与群において、これらの値は対照群と同様な値を示し,イソフラボンの連日投与により, SpVcWDRニューロンの過興奮は回復する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに食品成分であるイソフラボンの連日投与により異所性痛覚過敏が抑制されることが行動学的解析により確認され、矯正装置による歯の抑制は回避できることが形態学的解析により推察される事実を確認できている。本年度は①矯正装置装着群 (Experimental tooth movement: ETM群),②対照群(無処置),③ETM+イソフラボン投与群の3群のラットにおいて電気生理学的に細胞外単一ニューロン活動の解析を進めた。その結果イソフラボンの連日投与により、SpVcWDRニューロンの過興奮が抑制可能であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに、矯正装置装着群(Experimental tooth movement: ETM群),が処置群に比較してSpVc WDRニューロンの非侵害・侵害刺激に対する放電頻度の増強などの痛覚過敏に関わる現象を確認できETM+イソフラボン投与群において、これらの値は対照群と同様な値を示しイソフラボンの連日投与により、SpVcWDRニューロンの過興奮は回復する傾向が見られたため、今年度はさらに実験を重ね、ETM群に対するイソフラボン処置がニューロン活動の過興奮緩和に統計的有意な変化であるか否か、およびイソフラボンの溶媒投与群との比較などを検証し得られた結果を論文公表できるよう準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
前年度同様、コロナ禍の影響により、動物実験の休止期間が断続的に生じたため当初予定より、実験回数が減少し動物購入、薬品、機材などの費用が節約できたことが主な要因である。またこれによる研究成果の論文発表費用を次年度以降に計上したことも理由である。
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