2020 Fiscal Year Research-status Report
災害時要配慮者に対する多職種が連携した「食べる支援」体制の構築
Project/Area Number |
19K10420
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中久木 康一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20436629)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 災害歯科保健医療支援 / 災害時要配慮者 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、平成31年度に全国3か所にて開催した多職種での検討会をふまえての提案及び検討を深めていくための研修会を数回予定していたが、COVID-19の感染まん延を受けて数度の延期の後に全てキャンセルとなり、結果的に、「食べる支援」に関わる各分野・団体の災害時対応担当者らとの検討も予定を組めなかった。 令和2年7月豪雨の発生を受け、熊本県の球磨川流域の被害に対する災害歯科保健医療支援に関わったが、COVID-19による外部支援の制限を受けて直接的な対応は行えず、後方支援のみとなった。現地の支援者からの「直接的な介入が制限されている中でどのように健康支援をすべきか」という問いかけから、(公社)日本歯科衛生士会と協力して「マスクをしたままでもできるお口の体操」を作成し、ポスターやチラシを避難所等に届け、QRコードからのリンクで動画もインターネット上で閲覧できるようにした。 この経験から、オンラインを活用して「災害時要配慮者に対する多職種が連携した「食べる支援」」の理念や意識を共有できるコンテンツを作成することとした。各地での災害支援に関わる研修会がキャンセルとなっている現状を鑑み、オンラインでの「研修教材」として活用していただけるように「災害歯科 個別複数アセスメント票」の記載を研修するセルフワークの動画を作成し、公開した。 また、過去に「食べる支援」を含む災害歯科保健医療支援を行った、平成28年熊本地震における熊本県南阿蘇村・高森町、および、平成29年九州北部豪雨における朝倉市・東峰村における歯科支援の概要の動画を作成している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により、令和2年度の目標の多くは進行できず、計画変更を余儀なくされた。この理由は、計画の多くが、直接的な接触を要する、集合型の研修会や検討会、および、高齢者入所施設における直接介入評価であったからとも言える。 逆に、オンラインを活用する機会はどんどんと増えてきており、計画を変更して、オンラインで活用できるコンテンツの作成を行うようにしたが、十分な進捗が得られたとは言い難い状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度も引き続き、集合型での検討会の解散は困難と考え、「食べる支援」に関わる各分野・団体の災害時対応担当者らからのご意見などは、アンケート調査という形でいただき、それをうけてよりよい提案と調整していくこととする。また、災害時に「食べる」問題が起こりやすい高齢者や障害者の方々(災害時要配慮者)とのアクセスが多い団体(ex. 全国老人保健施設協会、日本介護支援専門員協会、全国在宅療養支援診療所連絡会、全国手をつなぐ育成会連合会、など)への共有に関しても、適応する団体をアンケート調査の対象に含めることにより、ご意見をいただくこととする。なお、当初計画していた高齢者施設などで実際に運用することによる評価は、COVID-19にて外部からの介入が制限されており、かつ、職員の介護負担が増えている現状においては現実的ではなく、行なわないこととする。 令和3年度も、令和2年度途中より開始したオンラインコンテンツの作成は継続して行い、オンラインでの研修の開催方法なども含めて、構築していきたいと考えている。 これらを含めて、「大規模災害時における「食べる支援」に関する統一方針」を多職種・多団体で統一し、標準化を図っていくことを目的としており、結果的に、オンラインでも対応できるような形で、多職種での共有がしやすく、研修・教育に活用できるようになると考えている。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により、令和2年度の目標の多くは進行できず、計画変更を余儀なくされた。このため、会場費、謝金、交通費などの、多くの開催経費が予算通りに執行されず、費用が発生しなかった。 また、オンラインコンテンツの作成は、既にある映像を自己編集して行ったものに関しては費用は発生せず、外部委託にて進行中の案件については、完成せず、予算執行は次年度となる。 このため、次年度使用額が生じることとなった。
|
Research Products
(7 results)