2019 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation and Usefulness of Constructed a Composite Index by Infrared Thermography and Near-Infrared Spectroscopy.
Project/Area Number |
19K10425
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小松崎 明 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (60256980)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 介護予防 / 赤外線サーモグラフィー / 口腔機能向上 / 唾液腺マッサージ / 口腔内温度 / 食感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
アセスメント予測モデルの構築に関しては先行研究の成果を踏まえ、新たに口腔内測定が可能なThermo FLEX F50を導入し、若年から中年期成人6名を対象とした予備測定を実施し、口腔内に対する冷却負荷法の方法や条件設定と、粘膜温度の測定レンジの設定や測定部位に関する基礎調査を実施した。その結果を基に、口腔内測定の規格化に関する検討を実施した。F50のカメラヘッドとコントローラ間の距離が制約されることも判明したため、接続コードの延長を実施し小型カメラの応用性の向上を図った。 口腔内の予備測定の結果、冷却負荷法については冷水法の方が冷却材法よりも操作性や冷却効果が確実である事が判明した。頬粘膜部の温度変化の個人差は口腔外測定時よりも大きく、また冷却負荷後の変動率も口腔外測定に比較して個人差が大きい傾向を確認できた。現在歯数の差など、ターゲットとする高齢者では口腔環境の個人差はより大きいと推察されるため、測定条件の規格化と測定対象による冷却負荷法条件の変更も検討する必要があると考えられた。F30を併用する口腔内外同時測定法も検討したが、口腔内外の冷却負荷後の温度に相互影響と思われる変化が認められたため不採用とした。 試験測定と並行して、介護予防訓練・介入を想定し、唾液腺マッサージクリームを使用した手法を検討するため、新潟県産の笹の葉抽出エキスを配合した専用クリームの試作を製薬メーカーに委託し、物性的な検証等を経て試作を依頼した。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により年度末にかけて研究遂行が困難となり、介護予防現場での試験測定は延期となり、高齢者群を対象とした測定は年度内に実施できない状態となった。このため既存の予備測定データの分析を先行して実施し、NIRSや口腔機能評価項目と口腔内測定条件をこの期間に検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元(2019)年度の研究計画としては,研究第一段階としてアセスメント予測モデルの構築と,測定基本システムの構築を予定していた。 年度前半の試験測定に関しては、少数の協力ボランティアを対象として予備測定を実施し口腔内に対する冷却負荷法の条件設定と、口腔内温度の測定レンジの設定や測定部位に関する基礎データが得られた。 並行して、介護予防訓練・介入を想定し、唾液腺マッサージクリームを使用した手法を検討するため、新潟県特産の笹の葉抽出エキスを配合した専用クリームの試作を製薬メーカーに委託し、物性的な検証等を経て試作を依頼した。 ここまで完了した段階で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、その後の実施予定が立てられなくなり、特に2020年2月以降に予定していた介護予防現場(新潟市地域茶の間)等での試験測定は延期となり、高齢者群を対象とした測定は実施できない状態となっており、年度後半の予定に遅れが生じている。唾液腺マッサージクリームの試作に関しても試作する製薬業者が受けた感染拡大の影響により完成が遅れている。 これらの状況から、研究全体の進捗状況は「やや遅れている」と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最大の目的は、新たに口腔内撮影熱画像を評価対象として、唾液腺マッサージの機械的効果、食感覚面からの基礎データを収集・検証することである。咀嚼感や味覚発現といった包括的な食感覚モダリティを構成する要素には、口腔内の温度環境も重要であり、それは唾液分泌とも密接に関連していると推察される。本研究で一定の検証ができれば、非侵襲的に顎口腔サルコぺニア、唾液分泌能低下等の包括的評価が可能と考えられ、オーラルフレイルの前兆的変化を把握するとともに、口腔乾燥症予防対策の向上に寄与できると考える。 今後の研究推進にあたり、研究初年度に構築した測定システム、測定方法に関する基礎データの収集を進め、並行して唾液腺マッサージ等の慰安的効果の検証に関しても実施したいと考えている。 また、高齢者の個人差の大きい口腔環境に適用できるような包括的な口腔機能評価指標を開発するためにも、オーラルフレイルに対する予知性の検証や、介護予防機能訓練の効果確認に応用できる発展性、将来的な生活支援ロボットや介護予防技術の開発に向けた新規性も視野に、研究遂行中も幅広い視点から技術的情報を収集し研究内容を更新する必要があると思われる。 一方、新型コロナウイルスの感染拡大は、研究遂行の障害要因となる事は確実と思われるため、感染リスクを制御しつつ研究対象者の測定が可能な環境を実現する方策についても検討が必要と思われる。
|
Causes of Carryover |
冷却負荷法の条件検討において、予測よりも冷却材使用法の応用性が低く現状では冷水法の仮採用を決定したため予備測定の開始に遅れが生じた。 また、唾液腺マッサージクリームの試作に関しては、慰安効果の向上を目指し地場産業が製造する香料の使用を検討し、製薬業者に試作品の製造を委託したが、笹の葉エキスを製造する中間業者との間の交渉に時間を要し、そのため今年度中の完成に至らなかったため遅れが生じた。 年度末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大により、介護予防活動の現場となっている地域茶の間が閉鎖され、高齢期の測定対象者に対する測定が不可能となり、感染制御に必要な消毒等の備品の入手も困難となり測定が遅れたため、これら予定経費が繰り越しとなったため次年度使用額が生じた。 使用計画としては、遅延が生じていた健常高齢者や要介護高齢者の試験測定の経費、NIRSの小型測定用センサーへの更新、唾液腺マッサージクリームの製品仕様確定後の製作費、口腔診査用機材や消毒用品、感染予防用品等の購入に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)