2019 Fiscal Year Research-status Report
末梢感覚入力が食道刺激によって誘発される嚥下反射に及ぼす影響
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19K10428
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
谷口 裕重 朝日大学, 歯学部, 准教授 (80529636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 陽一郎 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (30286661)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嚥下反射 / 食道刺激 / 摂食嚥下障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,1)食道刺激によって起こる嚥下反射を解明する,2)食道刺激によって嚥下反射を誘発する方法を臨床応用し,重度嚥下障害患者にも適応できる新たな嚥下訓練法を確立することを目的としていた.さらに,これまでの我々の研究成果を基礎として,ヒトを対象とした生理学的研究アプローチに従い,1)食道への異なる末梢刺激および体幹角度が嚥下運動へ与える影響,2)加齢や疾患が食道刺激で起こる嚥下運動に与える影響を明らかにすることを具体的な研究目標としていた. 初年度は目標を達成するため,食道への異なる末梢刺激(刺激液体の温度)および体幹角度が嚥下運動へ与える影響を検索した.方法として,10名の健常被検者を対象に,鼻腔より高解像度マノメトリーを挿入し,上部食道括約筋(UES)および下部食道括約筋が計測できる位置に留置した。反対の鼻腔より注入用カテーテルを挿入し,先端をUESの下方5cmの位置に留置した。次に,90度, 60度, 30度いずれかに体幹角度を付け,1℃,25℃,35℃にコントロールされたとろみ水をそれぞれ2回ずつ注入した。注入からUES弛緩開始までの時間を潜時として算出し,体幹角度および液体温度で相違があるか2元配置分散分析を用いて検討した。その結果,潜時は液体温度により異なっており,体幹角度によらず35℃,25℃,1℃の順に短縮した(p<0.01)。さらに,1℃では90度と比較して60度, 30度の潜時が短縮した(p<0.01)。本研究より,60度, 30度のいずれかで,1℃の冷水を上部食道に注入した際に,嚥下反射が最も誘発されやすいことが示唆された。 現在は,カプサイシン溶液,塩酸,クエン酸溶液,酢酸溶液,炭酸水を用いて,刺激溶液による嚥下反射誘発の違いを既に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初の予定通り,初年度は実験のセットアップおよび記録開始として,食道への異なる末梢刺激および体幹角度が嚥下運動へ与える影響を検索した。本年度の結果は,日本顎口腔機能学会第62回学術大会,9th European Society for Swallowing Disorders,3rd International Dysphagia Symposium at FHURにて発表した。 さらに,本研究の基盤となった昨年度までのデータは“Elicitation of the Swallowing Reflex by Esophageal Stimulation in Healthy Subjects: An Evaluation Using High-Resolution Manometry”との題名でDysphagiaに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は第26回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会,10th European Society for S wallowing Disorders Congress and World Dysphagia Summit にて学会発表し,初年度のデータに解析を加え論文発表する予定である。また,刺激溶液を変えてより嚥下反射を誘発するより最適な条件を検索するとともに,実験系を健常高齢者および咽頭期嚥下障害を有する患者に適用する予定である。この実験により,食道刺激に対する嚥下運動が加齢や疾患によってどのように変化するのかを明らかにすることができる。 令和3年度は,前年度までのデータを基に成果発表し,国際誌への論文投稿を予定している.
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Causes of Carryover |
当該助成金は本年度末の物品費として使用を予定していたが,納品に時間を要したため次年度支払いとした。 本年度末に予定していた物品納品,本研究の論文投稿は次年度遂行を予定する。
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Research Products
(7 results)