2019 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法患者の有害事象に関連する口腔環境因子・口腔細菌の解析
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19K10432
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
十川 悠香 徳島文理大学, 保健福祉学部, 講師 (60804721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 昌美 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (90243708)
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (70189801)
福井 誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (50325289)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん化学療法 / 自家末梢血幹細胞移植 / 口腔粘膜炎 / 発熱性好中球減少症 / 専門的口腔衛生管理 / 舌苔 / 歯周病原細菌 / 分泌型IgA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は自家末梢血幹細胞移植を受けた患者に焦点をあて,歯科専門職による口腔衛生管理の体制を確立したことによる重症口腔粘膜炎の低減効果を検討した。対象患者を専門的口腔衛生管理体制の確立前と確立後で2群に分け、口腔粘膜炎の程度と発熱日数,臨床検査所見,含嗽剤および薬剤処方日数を調査した。口腔粘膜炎のGrade 2またはGrade 3の日数は,発熱日数,局所麻酔薬含有含嗽剤処方日数および鎮痛薬処方日数との間に有意な正の相関を認め、専門的口腔衛生管理体制確立後に自己末梢血幹細胞移植を行ったグループの口腔粘膜炎Grade 3発症日数は,専門的口腔衛生管理体制確立前のグループと比較して,有意に短く、自家末梢血幹細胞移植における重症口腔粘膜炎の発現は発熱日数や薬剤処方日数と関連し,専門的口腔衛生管理体制の確立が重篤な口腔粘膜炎の発現抑制につながる可能性が示唆された。 また、血液がんに対する初回の化学療法を受けた患者のうち,化学療法前の口腔内状況を確認できた患者を対象とし、患者カルテから使用された化学療法薬、期間、全身状態、血液検査結果を調査した。また、初回化学療法開始前の舌苔と唾液を検体として採取した。舌苔は患者の舌背表面より3回拭い採取したものを検体とし、細菌数測定装置を用いて総菌数を測定した。また歯周病原細菌のうち、F. nucleatum,P. gingivalis,C. rectus,の3菌種の細菌数について、舌苔検体を用いてリアルタイムPCRの手法を用いて分析を行った。唾液検体では唾液量と分泌型IgA濃度およびタンパク質濃度を測定した。得られた以上の結果を、購入したパーソナルコンピューターを用いて整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究実施計画に沿った内容の研究が遂行できた。また、専門的口腔衛生管理体制の確立が口腔粘膜炎の発現抑制に重要である内容の原著論文を口腔衛生学会雑誌にて報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られた結果をデータ入力し、単純集計ならびに発熱性好中球減少症に関与する因子を二項ロジスティック回帰分析などの手法にて調べる予定である。解析で得られた成果を広く社会に発信するために、学会発表を行うとともに、海外への学術雑誌への掲載により報告する。 さらに臨床現場へ還元するために、「重症口腔粘膜炎」および「発熱性好中球減少症」の発症予防に関連した医療従事者向けのマニュアルの素案を検討する。
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Causes of Carryover |
分析予定の検体が予定数よりやや少なくなり、試薬の購入を見合わせたため差額が生じた。来年度はさらに対象者数を追加して分析していく予定であり、未使用額はそのための試薬購入費に充当する予定である。
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