2021 Fiscal Year Research-status Report
The effect of microcirculatory disorder of tongue surface on accumulation of tongue coating
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19K10433
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
谷口 奈央 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (60372885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00144501)
中野 善夫 日本大学, 歯学部, 教授 (80253459)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 舌苔 / 口臭 / 微小循環機能 / 口腔細菌叢 / カンジダ / 喫煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
舌苔は口臭の主要な発生源である。舌苔は微生物、唾液タンパク質、食物残渣、口腔粘膜剥離上皮細胞、白血球などで構成され、嫌気的環境となる舌苔の深部では、嫌気性菌が増加し、口臭の原因となる揮発性硫化物やアンモニアを産生する。一方、舌は血管が多く、舌表面の血液は口腔内細菌に酸素や栄養を供給すると考えられ、舌苔を構成する細菌種やその堆積に影響すると考えられる。本研究では、舌表面と微小循環機能が舌苔の細菌構成および堆積に与える影響を調べ、さらに微小循環障害の原因を明らかにする。まず、舌の微小循環機能を測定する方法として、レーザードップラー血流計とレーザー組織血液酸素モニターを利用し、舌表面計測用プローブを作製し、一定の圧力で計測できるようにし、健康な成人男性約100名の舌表面と口唇の血流量と血中酸素濃度を調査した。次に、微小循環の変化を捉えるため、加熱式タバコの使用前後およびシャム喫煙前後の血流量及び酸素飽和度の変動を調べた。また、口腔内細菌の16S rRNA遺伝子配列に基づく高速シーケンス解析により舌苔の細菌叢と口臭との関係を調べ、論文にまとめた。口臭患者の舌苔検査では、舌苔堆積に関連が深いと考えられるカンジダの検出を行い、同時に舌の写真撮影を実施した。さらに、咬合力と口唇閉鎖力を計測することにより、舌苔堆積と口臭への影響を検討した。多角的に検討した結果、加熱式タバコの使用前後における血流量変化や、口臭に関係する舌の細菌叢と喫煙習慣の関係、口臭における咬合力と口唇閉鎖力の交互作用など、新しい知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微小循環機能を測定するための血流計と血液酸素モニターは口腔粘膜の計測を想定して作製されたものではなかったため、口腔計測用プローブの作製、再現性や計測時の圧力や光の影響など、条件設定に時間を要した。測定条件設定後には、約100名の健康な男性集団を対象とした健康フェアにおいて、舌表面と口唇の血流量と血中酸素濃度を計測し、喫煙習慣との関連性を調査した。また、カンジダ検出や舌の菌叢解析、口腔機能検査を同時に進め、多角的に検討した結果、加熱式タバコの使用前後における血流量変化や、口臭に関係する舌の細菌叢など、新しい知見が得られた。しかしながら、本研究の最終目的である舌苔の蓄積メカニズムの解明の段階までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、口臭外来患者数が減少しており、また感染対策の観点からも、患者を対象としてこれから微小循環機能に関する十分なデータを蓄積することが、研究期間内には難しい可能性がある。患者を対象としたデータ収集の推進に関してはこれらの状況をみながら検討する。一方、これまでに健康な成人男性100名を対象に取得した舌表面の血流量と血中酸素濃度のデータがあるので、まず、これらと年齢や口腔内状態、生活習慣などの要因との関係を調べる。また、カンジダ検出と舌苔付着量との関係や舌苔の菌叢解析による喫煙の影響などの調査結果や口臭と口腔機能検査の結果とをあわせ、舌苔の蓄積に関与する要因を総合的に評価することを試みる。
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Causes of Carryover |
研究室が保有する血流計の老朽化のため購入を予定していたが、修理をして研究に使用できる状態となり、購入しなかったため、その分の予算が残った。また、ほとんどの学会が現地開催できなかったため、出張費用がかからなかった。一方で、機械の修理や新たに追加したカンジダ検出など、研究計画時に予定していなかった費用も発生した。今年度は、データ採取の際に使用する消耗品、統計分析ソフトのアップデート、研究打ち合わせ、論文投稿、などに研究費を使用する予定である。
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Research Products
(16 results)