2021 Fiscal Year Research-status Report
真猿類マーモセットの口腔内細菌メタゲノムを活用した次世代型口腔衛生の先駆モデル
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19K10439
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹原 祥子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60622438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植野 正之 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70401388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コモンマーモセット / セファロ分析 / 顔面 / 成長 / 咀嚼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はヒトの口腔疾患モデルとしてのマーモセットの有用性を評価し、口腔疾患モデルを確立することである。研究対象としたのは若年コモンマーモセット計10頭(雌雄各5頭)で、生後から4か月間、生後の成長発育に伴う身体機能を含む研究を行った。成長パターンは連続的ではなく、体重は1-2か月で有意に増加、頭蓋は0-1か月、2-3か月に著しい成長が認められた。顔面の高さは0-1か月と2-3か月の期間に著しく成長し、下顎の成長は主に2-3か月に認められた。頭蓋骨の成長観察に加えて、咀嚼、嚥下、顎運動を給餌実験によって観察した。給餌実験はより自然でストレスのない状況での観察をするために非拘束状況で実施し、マシュマロおよびカステラを与えて咀嚼運動をX線動画撮影した。顎の開閉を観察した結果、開口フェーズの長さが1か月と2か月の間で減少、閉口フェーズの長さには統計的有意な変化は認められなかった。給餌時の行動観察から、1)マーモセットはマシュマロよりカステラを好む、2)「かみきる」よりも「咀嚼」する様子が多く観察され(咀嚼:72%, かみきる:28%)、特筆すべきは臼歯部での咀嚼が見られた、3)食べ物を地面に置いて食べるよりも、手で食べ物をつかんで食べていた(手を使う:92%、地面において食べる:8%)、4)咀嚼は中断することがほとんどなく、連続的であった(連続的:98%、断続的:8%)という結果が得られた。X線動画撮影の結果からマーモセット頭蓋顔面の成長は月齢2-3か月に著しかったことより、同時期は頭蓋顔面の成長異常の研究に最も適した時期であると考えられる。この研究よりマーモセットの顎顔面の成長が月齢2-3か月の間に起こることが分かった。マーモセットの3か月はヒトの2歳に相当する。本研究の結果からマーモセットは、頭蓋顔面の形態や機能の基礎的研究として適したモデルとなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の予期せぬ理由により,計画よりも進捗がやや遅れていると自己評価した. (1) 令和3年度は研究代表者の研究環境の変更があり、進捗が遅れている。 (2) 新型コロナウイルスの感染予防のため,予定していた実験ができず、2次データを分析することで,ある程度の成果が得た.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗が遅れている細菌叢の解析について着手する予定である。具体的には超高齢マーモセットおよび若年マーモセットから採取したサンプルに含まれる口腔内細菌叢および腸内細菌叢の解析を継続して行う。2022年度は本成果を論文にまとめて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
予期せぬ新型コロナウイルスの蔓延と感染予防によって,また研究代表者の研究環境の変化のため実施を予定していた実験の進捗が遅れ,次年度使用額が生じた.最終年度となる令和4年度は,新型コロナウイルスの状況を鑑みつつ,状況に応じた分析・実験手法の選択をし,成果を着実に出すために助成金を使用する。
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