2019 Fiscal Year Research-status Report
アディポカインであるアクチビンの歯周病における病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
19K10447
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林田 秀明 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (20238140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (10170515)
古堅 麗子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90253674)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | アクチビン / 歯周病 / 歯周組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満に伴う脂肪組織の肥大化によって様々な生理活性を持つ分子であるアディポカインが分泌されることが知られており、アディポカインとして注目されているアクチビンに着目し、本年度は歯周病におけるアクチビンの病態生理学的意義について、歯周組織の構成細胞におけるアクチビン受容体分子の発現、アクチビンによって変動する遺伝子に関して検討した。歯周組織を構成する細胞であるヒト由来口腔上皮細胞、線維芽細胞、破骨前駆細胞および破骨細胞を培養後、細胞を破砕しRNAを抽出後、逆転写酵素で相補DNAを合成し、アクチビン受容体ActR1、ActR2遺伝子に特異的なプライマーを用いて、定量的PCRを行い、ActR1およびActR2遺伝子発現と細胞間の発現量の差について解析した。その結果、すべての細胞においてActR1、ActR2遺伝子に相当する増幅産物が得られたことから、すべての細胞でこの2つの遺伝子が発現していることが示された。次にアクチビン受容体の蛋白質レベルの発現について、培養細胞を破砕し、破砕物を可溶化しポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、ナイロン膜に転写後、これらに対する特異抗体を用いたウエスタンブロット法で確認した。その結果、すべての細胞で蛋白質レベルでの発現が確認された。ヒト由来口腔上皮細胞、線維芽細胞、破骨前駆細胞および破骨細胞間の遺伝子レベルおよび蛋白質レベルでの2つの受容体の発現量の差および歯周病菌体成分による刺激によって発現量に変動が認められるかについて現在解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アクチビン受容体のヒト歯周組織細胞における細胞局在の解析を行う予定だったが、準備段階で解析実施に至っていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度予定していた研究計画の中で実施できなかったヒト歯周組織の構成細胞におけるアクチビン受容体の細胞局在に関する解析は、次年度予定のアクチビンアイソフォームによって惹起される変動遺伝子の検索・同定および特異的に発現するタンパク質の同定に関する解析と同時並行しながら実施することが十分に可能であることから、次年度研究計画とともに今年度の研究計画で検討できなかったアクチビン受容体の細胞局在についての免疫蛍光法による細胞局在に関する解析を次年度実施する予定である。その後に予定しているアクチビンアイソフォームの細胞接着への影響や破骨前駆細胞の分化度、破骨細胞における骨吸収に対する影響に関する解析については、上記の解析が終了次第速やかに着手する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、ヒト歯周組織細胞におけるアクチビン受容体分子の発現およびアクチビンアイソフォームによる変動遺伝子の解析に予想外の時間を費やしたことにより当初予定していたアクチビン受容体のヒト歯周組織細胞における細胞局在の解析を実施できず、試薬および器具の購入を見送ったため。次年度の使用計画は、実施予定であったアクチビン受容体のヒト歯周組織細胞における細胞局在の解析を次年度に実施するため、必要な試薬および器具を購入する予定である。
|
Research Products
(1 results)