2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔から分離されるブドウ球菌の分子疫学的解析と新規市中感染型MRSAの蔓延状況
Project/Area Number |
19K10450
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
広瀬 弥奈 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10265077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 祥子 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10285538)
福田 敦史 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10453276)
村田 幸枝 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (90455676)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 薬剤耐性 / 病原性 / 唾液 / 小児 / MRSA / CNS |
Outline of Annual Research Achievements |
健康小児の唾液から検出される黄色ブドウ球菌(S.aureus)について、保有状況、薬剤耐性および病原性を調べることを目的に、分子疫学的解析を行った。 2016~2019年に本講座の歯科健診を受けた保育所および幼稚園児で、保護者の同意を得られた3歳~6歳児263人を対象とした。採取した唾液からブドウ球菌を分離培養後、DNAを抽出し、PCRにより16sRNA、 nuc、 mecA遺伝子等を検出した。S.aureusについては、コアグラーゼ(coa)型別と、MLST解析を行った。次いで、微量液体希釈法により各種薬剤への感受性を測定し、薬剤耐性遺伝子、病原因子遺伝子等をPCRにより検出した。 次の結果が得られた。 (1)263人中、17人からS.aureusが検出された(6.5%)。mecA、PVL、ACME遺伝子はいずれも検出されなかった。 (2)MSSA(メチシリン感受性S.aureus)17株のcoa型は、Ⅹaが4株、Ⅳa、Ⅴa、Ⅶbが各3株、Ⅴbが2株、Ⅵc、Ⅷaが各1株であった。 (3)MLST解析では、8種類のSTが同定された。それらは、ST15(2株)、ST20(1株)、ST30(3株)、ST45(3株)、ST97(1株)、ST121(3株)、ST188(2株)、ST718(2株)であった。 (4)ST20、ST30、ST45、ST121のMSSAは、いずれもエンテロトキシン遺伝子クラスター(seg-sei-sem-sen-seo)を有していた。 (5)ST30の菌株はtst-1、blaZを保有し、アンピシリンとエリスロマイシンに耐性を示した。 健康小児の唾液中から、薬剤耐性遺伝子および病原因子遺伝子を保有するMSSAが検出されたことから、市中におけるそれらの蔓延状況を継続して調査する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健康小児の唾液から検出されたブドウ球菌の種類、病原性、薬剤耐性を遺伝子解析により明らかにすることができた。本結果は、2020年に行われた日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き健康小児を対象に、唾液と手掌から検出されたブドウ球菌の種類、病原性、薬剤耐性などについて分子疫学的解析を行うとともに、大学病院を受診した患者さんを対象に、唾液、手掌および口腔内の病巣から採取したブドウ球菌についての解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症防止対策の一環として健診等が行えなかったため、サンプル採取のための人件費、物品費等がかからなかった。
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