2021 Fiscal Year Research-status Report
バルプロ酸曝露ラットの脳神経発生異常の解明~発達障碍児の食の困難の解決を目指して
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19K10451
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
鈴木 礼子 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (90333723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 元 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (90291343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 頭部神経堤細胞 / バルプロ酸 / 脳神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、SDラットの母獣 (胎仔の胎齢9日朝10時:推定頭部神経堤形成期)にバルプロ酸(VPA)を投与すると、胎仔の頭部神経堤細胞(NCC)由来脳神経の軸索伸長が、様々な程度に阻害されることを示すデータが得られていた。しかしながら、この結果のばらつきに寄与した因子として、胎仔の個体差が大きいのか、それともVPAが投与された瞬間における発生ステージの違いが大きいのか、との疑問が生じた。なぜならば、我々が実験に用いたSDラット(膣栓チェックによる確定妊娠ラットを妊娠日齢指定して購入)の場合、同じ日齢で購入しても、somite(体節)数を元に発生ステージを厳密に確定すると、推測される受精時間に最大20時間程度のばらつきが生じていたからである。これを踏まえて、現在、受精時間にほぼ個体差が生じないWistar Imamichi ラットに系統を変えて、(1) SDラットで観察された変異が同様に生じるかどうか確認し、その上で、(2)VPA投与時期を厳密な発生ステージで揃えて頭部NCC由来脳神経の軸索伸長の阻害状況を確認する実験を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験動物の系統を当初のSDラットからWistar Imamichiラットに変え、より厳密な発生ステージを確定した上で、バルプロ酸が胎仔の脳神経発生に及ぼす影響を解析する必要が生じた為。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)頭部神経堤形成期におけるバルプロ酸(VPA)曝露が、頭部神経堤細胞(NCC)の形成と移動をどのように攪乱するのかを検証する。 方法として、Wistar Imamichiラットの母獣 (胎仔:E9.4)を用いて、実験群にはVPAを、対照群には生理食塩水を単回投与し、その後、VPA投与群と対照群のラット胚(E11.75-12.75)において、移動中の頭部NCCのマーカーであるSox10の局在を、whole mountの in situ ハイブリダイゼーション/免疫染色や、リアルタイムRT-PCR法などを用いて解析する。 (2)VPAによって頭部NCC由来の脳神経の機能的ネットワークがどのように攪乱されるのかを検証する。 方法として、E9.4 VPA投与群、及び、対照群のラット胚(E11.75-12.75)において、未熟/成熟ニューロンのマーカーの局在変化などの軸索伸長阻害状況や、軸索ガイダンス因子の時空間的発現攪乱状況を、whole mountおよび凍結切片の in situ ハイブリダイゼーション/免疫染色や、リアルタイムRT-PCR法などを用いて解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、 (1) COVID-19の蔓延、及び、(2)令和3年2月福島県沖地震による設備被害の影響が遷延したこと(令和4年3月の福島県沖地震による更なる被害も含む)により、予定通り実験を完了できなかったためである。次年度使用額は、令和4年度における実験機器や消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)