2023 Fiscal Year Research-status Report
バルプロ酸曝露ラットの脳神経発生異常の解明~発達障碍児の食の困難の解決を目指して
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19K10451
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
鈴木 礼子 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (90333723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 元 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (90291343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 頭部神経堤細胞(CNCC) / バルプロ酸(VPA) / 三叉神経 / 軸索伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのSDラットを用いた実験系では、胎仔の胎齢9日(E9)朝10時(推定頭部神経堤形成期)に母獣を介してバルプロ酸(VPA) 500mg/kg を単回投与すると、胎仔の頭部神経堤細胞(CNCC)由来の三叉神経の軸索伸長が、様々な程度に阻害されることを示すデータが得られていた。しかしながら、SDラットの場合、排卵時刻を含めて個体差が比較的大きいため、この結果のばらつきに寄与した因子として、胎仔の個体差と、VPAが投与された時刻における発生ステージの差のどちらの影響が大きいのか、判別困難であった。そこで、排卵時刻がほぼ斉一な為、摘出時刻によって胎仔の発生ステージを揃えることが可能な妊娠Iar: Wistar-Imamichi ラット用い、体節(somite)数に基づいた発生ステージと胎齢の関係を精査した。その結果、Iar: Wistar-Imamichi ラットの場合、E8夜10時頃が頭部神経堤形成開始直前のpresomitic stageに相当したため、この時刻に、VPA 500mg/kgを母獣に単回投与すると、E12胚の抗neurofilament抗体を用いたホールマウント免疫染色(Anti-NF WIHC)で、三叉神経の軸索伸長阻害が観察された。さらに、その軸索伸長の阻害程度は、腹内・腹間で様々であった。一方、Iar: Wistar-Imamichi ラットの場合、E9朝10時(1-2 somite stage)にVPA 500mg/kgを単回投与しても、三叉神経の軸索伸長の顕著な阻害傾向は、E12胚のAnti-NF WIHCの画像を見る限り認められなかった。これらから、母胎内でVPAに曝露されたラット胎仔におけるCNCC由来脳神経の軸索伸長阻害は、VPA投与時における胎仔の発生ステージ特異的であり、かつ、腹内・腹間における感受性の違いもあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
delamination 直後から移動中の頭部神経堤細胞(CNCC)の有用なマーカーとして用いることができ、さらに、神経細胞やグリア細胞への分化運命の定まった CNCC のマーカーとしても有用である Sox10 のホールマウント in situ ハイブリダイゼーション用 mRNA プローブの作製に手間取ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した Sox10 mRNA プローブを用いて、胎齢9日(E9)-E11のラット胚のホールマウント in situ ハイブリダイゼーション(WISH)を行い、頭部神経堤形成直前における母胎内バルプロ酸(VPA)曝露によって、胎仔の三叉神経の発生に寄与する頭部神経堤細胞(CNCC)の移動経路が、どのように変化するのかを in vivo で詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、Sox10 mRNA プローブの作製に手間取ったことによって、当初予定していた論文作成に遅れが生じたからである。次年度使用額は、主に、国際的学術雑誌に投稿する論文の英文校正費用として、また、追加実験が必要となった際の消耗品費として用いる予定である。
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Research Products
(1 results)