2022 Fiscal Year Research-status Report
An informatics approach to clarify the multiple influence of oral status, microbiota and nutrition on systemic conditions
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19K10476
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
小島 美樹 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20263303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (00303983)
藤田 修三 梅花女子大学, 食文化学部, 教授 (20173429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 共食 / 咀嚼 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、自治体データを活用して、口腔状態と食生活の関係について検討した。2020年のI市保健福祉に関するアンケート調査のうち、65歳以上を対象とした介護予防・日常生活圏域ニーズ調査のデータを用いた横断研究である。性別、年齢、咀嚼状態および共食頻度のデータに欠損がない2,207人(男:1,003人、女1,204人)を対象とした。咀嚼状態は、「半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか」の質問に「はい」と回答した者を「咀嚼不良群」、「いいえ」と回答した場合を「咀嚼良好群」とした。歯数は20本以上か19本以下かを質問により評価した。共食頻度は、「どなたかと食事をともにする機会はありますか」の質問により、「毎日ある」、「週に何度かある」、「月に何度かある」、「年に何度かある」、「ほとんどない」の5段階で評価した。月1回以上の共食機会の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析モデルを構築し、咀嚼状態のオッズ比と 95% 信頼区間を、性別、年齢(6群)、家族構成(独居か同居の2群)、1週当たりの外出頻度(4群)、手段的日常生活動作スコア(IADL)を調整して算出した。咀嚼不良群は590人、咀嚼良好群は1,617人であった。歯数が19本以下の者の割合は、咀嚼不良群が71.0%、咀嚼良好群は39.0%であった。咀嚼不良群は咀嚼良好群と比較して、共食頻度が少ない傾向が認められた(毎日ある:咀嚼不良群50.8% vs. 咀嚼良好群57.2%、週に何度かある:8.6% vs.10.1%、月に何度かある:14.9% vs.15.9%、年に何度かある:15.1% vs.10.8%、ほとんどない:10.5% vs.6.0%)。ロジスティック回帰分析の結果、咀嚼良好を対照とした、月1回以上の共食機会ありに対する咀嚼不良の調整オッズ比は0.70(95%信頼区間:0.55-0.89)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、口腔データ、栄養データ、細菌データおよび全身データが必要である。 現在までに、事業所の医科・歯科健診情報のリンケージが終了しており、口腔データと全身データの収集については、おおむね計画通りに進行している。一方、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行の拡大が継続していたため、健診の実施や唾液採取等が困難であった。そのため、サンプリング対象者の確保が遅れており、栄養データ、細菌データの収集が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、下記1~3)を実施する。 1)健診における栄養データと細菌データの収集が、当初の計画よりも遅れていることから、新型コロナウイルス感染症の流行状況を考慮しながら、引き続きサンプリング対象者の確保に努める。2)健診による新たなデータの採取が困難な状況が今後も続く場合は、研究計画を一部変更して、既存の他のデータベースと組み合わせた分析を検討する。 3)歯科と医科の健診情報のリンケージは終了していることから、う蝕、歯周病、未補綴の複合状態とメタボリックシンドローム要因との関連について、時系列分析など、時間的変化を考慮した分析を実施して因果関係を追求する。
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Causes of Carryover |
理由:栄養データおよび細菌データの採取の開始が遅れており、唾液試料の定量・細菌検出と食物摂取頻度調査が実施できておらず、次年度に使用する予定の研究費が生じた。 使用計画:唾液を試料として、歯周病菌、う蝕菌、硝酸還元菌について polymerase chain reaction (PCR)法による定量・検出を行う。食物摂取頻度調査 (FFQ)により、1日あたりの平均的な食品と栄養素摂取量のデータを収集する。研究計画の一部変更にともない、既存のデータと組み合わせた分析に必要な統計パッケージを購入する。
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