2023 Fiscal Year Annual Research Report
リハビリテーション医療における医療経済評価の基盤づくり
Project/Area Number |
19K10493
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
泉 良太 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (80436980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 真一 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (00339954)
長山 洋史 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (00552697)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療経済学 / 効用値尺度 / 健康関連QOL / 運動器疾患 / 心大血管疾患 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
対象は運動器95名,心大血管疾患26名,呼吸器10名であり,呼吸器疾患については症例数が少ないため,解析からは除外した.疾患ごとの平均年齢は運動器77.5歳,心大血管67.7歳であった.FIM合計は運動器(初期評価/再評価),87.2/108.6(p<0.01),心大血管73.1/106.5(p<0.01)であり,両疾患で有意に向上した.HRQOLについて,EQ-5D-5Lでは,運動器0.55/0.74(p<0.01),心大血管0.46/0.67(p<0.01)であり,両疾患で有意に向上した.SF-36については,運動器では全ての項目で有意に向上,心大血管ではRP,BP以外は有意に向上した.MCIDについては,統計学的には有意に向上したにも関わらず,平均変化量がMCIDを超えなかった項目は,運動器(平均変化量/MCID)のSF(6.7/8.2),GH(2.6/4.2),VT(3.7/5.4),RE(8.1/8.5),MH(5.5/5.9)であった. 本研究により,統計学的な検定のみでは,Patient Reported Outcomeの1つであるHRQOL尺度での評価結果の解釈が困難であることが証明された.特に運動器については,5項目でMCIDを超えていなかったため,リハの効果検証に使用する際には留意すべきである.そして,運動器では身体機能や疼痛への介入を優先しやすく,MCIDを超えなかった5項目については,初期からの介入が少ないことが推察される.リハビリテーション医療の目標は全人間的復権のため,初期より,その人の社会的な役割や心の健康にも十分な介入を実施していく必要性が再認識された.また,MCIDは疾患の種類や重症度,病期によって異なるため,指標となるMCIDの値を調査していくことが望まれるとともに,より感度の高い,疾患特異的尺度についても検討していく必要があると考える.
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