2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん相談支援センターへの相談内容の特徴抽出と構造化および経年推移の分析
Project/Area Number |
19K10496
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
三苫 美和 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (60618304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 恭子 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (20253619)
谷水 正人 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 院長 (20501844)
西村 治彦 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (40218201)
福島 美幸 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医療ソーシャルワーカー (40627692)
東 ますみ 神戸女子大学, 看護学部, 教授 (50310743)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん相談支援センター / 相談記録 / ビッグデータ / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都道府県がん診療連携拠点病院であるA病院のがん相談支援センターに蓄積されてきた相談記録に対して、相談内容の推移と傾向を捉える分析を行い、その活用について考察した。まず、単年度(2008年の9,451件)の相談記録データに対してテキストマイニングをベースとした分析を行い、相談内容のパターンと傾向を把握するアプローチ手法の構築を行った。その結果、相談内容項目間の共起性から頻度の高い相談内容項目の組み合わせパターンを可視化できた。さらに各項目の相談記録文における共起関係のネットワーク図に基づいて相談内容のパターンと傾向を把握することができた。次に、データの規模を拡大し、2009年から2018年までの10年間に亘る相談記録(95,205件)を対象とし、各相談内容項目の相談件数と相談時間を評価するとともに、経年推移の分析をふまえて相談の変容を検討した。10年間通して常に相談が多いのは「受診方法・入院」「症状・副作用・後遺症」であった。件数が減少傾向のものは「がんの治療」「がんの検査」「がん予防・検診」等の6項目であった。一方で、増加傾向のものは「社会生活」「不安・精神的苦痛」「医療費・生活費・社会保障制度」「食事・服薬・入浴・運動・外出」等の9項目で、「社会生活」は平均相談時間の伸び率も高かった。「社会生活」の相談記録文に対するテキストマイニングを通して、がん患者の就労支援や薬物療法の副作用に対する相談の新たな傾向が確認できた。本アプローチは、相談員が相談内容の傾向を効率的かつ集約的に把握し情報共有を支援するツールとして活用できる。また、相談対応を行う上でおさえておくべき知識とスキルの強化や相談者のニーズを探索する教育的ツールとして活用することができ、相談員の知識やスキルの向上と知見の共有に繋がる有用性が示唆された。
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