2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a training program of cardiac auscultation from first-year medical students to physicians
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19K10502
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
加賀谷 豊 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (90250779)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心臓聴診 / シミュレーション教育 / 医学教育 / シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓聴診法は最も基本的な身体診察法の一つであり、医学生は基本的な心音の異常や心雑音を的確に聴取できる能力を修得する必要がある。一方、海外の研究では医学生のみならず、研修医や循環器のフェローですら十分な聴診能力を身に付けていないことが報告されている。我々は臨床実習参加前の医学科4年生を対象に、心臓病診察シミュレータであるイチローを用いた少人数実習を行ってきた。今年度は昨年度に続いて、新型コロナウイルス感染症の拡大のために、オンラインによる心臓聴診トレーニングを行った。ミニレクチャー後に、心臓聴診トレーニングおよび2つの異なる心臓聴診テストを「聴くゾウ・サウンドiPax」(テレメディカ)とZoomにより実施した。医学科4年次学生139名が参加した。トレーニング後の1回目の聴診テストでは、カテゴリー1:II音(S2)に関する出題、カテゴリー2:Ⅲ音(S3)とⅣ音(S4)に関する出題、カテゴリー3:心雑音(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症)に関する出題のいずれであることを予め知らせてから音を聴かせた。2回目の聴診テストでは、カテゴリーを知らせずに音を聴かせた。1回目の聴診テストの正解率は、S2/S3/S4に関しては81.9%、心雑音に関しては72.8%であった。2回めの聴診テストの正解率は、S2/S3/S4に関しては61.2%、心雑音に関しては64.7%であった。以前の対面で心臓診察シミュレータを用いたトレーニングと比較して、1回目と2回目ともに心雑音の正解率が低い傾向にあった。オンラインでは、学生が自由に聴診をすることが難しく、その点に配慮したオンライン心臓聴診トレーニング・プログラムの開発が課題となった。S2/S3/S4に関しては1回目に比べて2回目の正解率が大きく低下し、対面によるトレーニングの結果と同様であった。これも改善すべき課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、従来の対面での心臓病診察シミュレータを用いた心臓聴診トレーニングができなかったことは、昨年度と同様であった。このため、オンライン(Zoom)による心臓聴診トレーニングを実施した。研究の継続性という点で、オンラインへの切り替えが必要となったことが、大きな障害となっている。対面での心臓聴診トレーニングと同じことがオンラインでは必ずしも実施できなかった。教育効果という点でもオンラインでの心臓聴診トレーニングは、対面での実施に比較して劣っていると言わざるを得ない。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、海外での学会発表や情報収集ができなかった。国内学会に関しては、オンラインで参加したが、研究者との意見交換という点では、不十分であった。この様な理由により、本研究課題の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度であるため、医学科1年次における聴診トレーニングやオンラインによる聴診トレーニングの結果を含めて、研究成果をまとめて論文発表を行う予定である。新型コロナウイルス感染症の拡大により、通常の対面による心臓聴診トレーニングが難しい状況が続く可能性があり、効果的なオンライン心臓聴診トレーニング・プログラムの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大のために、予定していた海外および国内の学会参加のための旅費の使用が全くなかったので、次年度使用額が生じた。今年度は感染状況が許せば、国内の学会への参加のため、旅費を使用する予定である。研究期間の最終年度となるため、研究成果をまとめて論文発表に力を注ぐ。この際、オープン・アクセスとするために研究費を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)