2023 Fiscal Year Annual Research Report
視覚芸術(漫画)を応用展開したインフォームドコンセントのイノベーション戦略
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19K10515
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
笹島 浩泰 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80196188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 庄吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (20871164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 髄膜腫 / 脳梗塞 / インフォームドコンセント / 病態説明漫画 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性脳腫瘍では良性腫瘍の髄膜腫が最も多く、その診断頻度が年々増加している。治療においては、経過観察や手術摘出、定位放射線治療、手術摘出に加えて定位放射線治療、等の選択を迫られ、患者側が病態を理解した上での治療選択には困難を伴う場合が多い。本研究によって「髄膜腫 -蝶形骨縁髄膜腫を中心に-」の病態説明漫画作成に着手し、既報どおり2020年3月に完成した。本邦の死因第3位である脳血管障害で最も多い脳梗塞の原因には、一過性脳虚血発作や動脈硬化による頸部内頸動脈狭窄症および頭蓋内血管狭窄症、心房細動など多岐に渡るものがあり、治療においては、抗血小板療法、抗凝固療法、選択的血栓溶解術、頸部内頸動脈ステント留置術、血栓内膜剥離術、頭蓋外内血管吻合術、外減術など病態に応じた積極的治療が急性期や亜急性期さらに慢性期において目的に応じて選択される。とりわけ、超選択的血栓溶解術は虚血発作発症後数時間以内に治療を開始する必要があり、これらの病態や治療を動揺する家族に短時間で説明して治療に同意を得るのは困難な作業である。そこで、急性期脳梗塞患者において、患者モデルと家族や医療機関の登場人物を想定し、2021年3月に脳梗塞の病態説明漫画が完成した。髄膜腫および脳梗塞の病態説明漫画の臨床展開に関して、新型コロナウイルス感染症蔓延による救急業務の縮小や、不急手術の延期等による影響のため、予定より進行が遅れ、研究期間を延長した。2022年度および最終年度では、これら病態説明漫画を臨床現場で使用し、同意を得られた患者および患者家族による読後のアンケート調査および感想記述を回収して解析した。概ね8割の読者が病態理解に役立ったと回答しており、約9割の読者が病態説明漫画の普及を望んでいた。2023年11月1日に放送されたNHK Eテレ「ザ・バックヤード」では、作成した病態説明漫画の有用性が紹介された。
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Remarks |
NHK Eテレで2023年11月1日に放送された番組のURLを記載した。この放送では研究代表者がインタビューを受けて出演しており、脳神経外科領域の緊急手術時における病態説明時の家族の混乱と、解決策としての病態説明漫画の有用性を説明している。
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