2019 Fiscal Year Research-status Report
医学教育における生体センシング技術を用いた新しい技能教育方法の開発
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19K10517
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
馬谷原 光織 昭和大学, 歯学部, 講師 (30384184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 直子 昭和大学, 歯学部, 准教授 (20307052)
中村 雅典 昭和大学, 歯学部, 教授 (50180394)
鈴木 久義 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (70300077)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医学教育 / モーションセンサ / 客観的行動評価 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
【令和元年/2019】A-1)無意識が表出しやすい頭部、肩、腰など計10箇所で体幹の動きが記録できるよう、申請者ら開発のセンサ群とMP プログラムの拡張を行った。B-1)センサ群とMPプログラムを用い、歯形彫刻実習における教員・学生の手技差を定量化し、いわゆる上手になるコツを同定して、そのコツを取り入れた動画教材を手技1ステップごと約2分間に分解した動画教材12本を準備した。C-1)歯形彫刻実習は学生約100名と指導教員4名の規模である。シラバスにおいてe-Learningを通じたステップ動画を用いた実習・事前学習を義務付け、反転授業形式の実技実習を実施した。D-1)本学倫理委員会許可をうけて、学生約100名の質問紙調査を行った。昨年までの従来方法と新しい反転授業を取り入れの成果を比較するため、実技試験成績と成果物評価成績を比較する分析を行った。分析の結果、動画教材による事前学習は実技実習における教員・学生間の個別指導の機会を増加させるという成果をあげた。一方、動画教材は歯形彫刻のコツ伝授の全てを網羅できたとはいえず、より伝わりやすい表現方法を考える必要が指摘された。 次年度以降計画されていた研究目標(令和2年/2020-B2) が、2019年度に前倒しで進行している。保健医療学部・作業療法学科におけるeラーニングを用いた事前学習の取り組みが進行した。これは学生約30名教員2名の規模で、eラーニング教材は実技実習における実技向上に焦点を当てたものと、実技向上に加えて知識面も合わせて強化をはかる2つが準備された。導入のためのトライアルでは教員間の教材評価およびボランティア学生による評価を受け、教材内容の調整を行った。その後、作業療法学科授業(正科)で実施され、分析とまとめが行われその成果が公開された。さらにその成果の応用・派生型として、精神領域の作業療法の反転授業が実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年/2019】センサ群の拡張が行われ、扱う情報量が指数対数的に増加しているため、2020年度計画の新MPプログラム(M-MP)拡張を進める。歯形彫刻実習における動画教材の取り入れが実施され、教員と学生両方に質問紙調査による成果の確認行なった。今後センサー行動可視化の情報を、さらにわかりやすく学生に提供する方法を工夫する。当初2020年度の研究計画であった保健医療学部・作業療法学科(鈴木ら)との研究分担部分が2019年度に先行しており、動画教材による反転学習の取り組みが成果を上げている。研究期間全体を見通すと、先に進むものと、さらなる工夫が必要な成果が混在する状態であるが、本取り組みは現時点で概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
【令和2年/2020】 A-2)体の動き計測に、視線、心拍、体温センシングができるよう、センサ装置群の追加開発をおこない新MPプログラム(M-MP)を開発を進める、要点は、指数対数的に増加するデータから必要箇所のみを表現できる工夫。技能継承目的に適したデータ表現とはいかなるものかである。B-2)本学・保健医療学部・作業療法学科では2019年度に前倒しで研究が進んでおり、先行した成果に追加して、ヒト肩など多軸3次元的動きにおける、熟達者と初学者の差(コツ)を技能教育現場で活用できるか検討を進める。 【令和3年/2021】 本研究はセンサ開発の段階を超え、教育現場で成果を上げるまでを一貫しておこなう。C-1)研究成果から従来の医学教育方略に加え、教員も気づかない無意識のコツがどこにあるか明確にして、それを実際の教育現場に反映させ、どのような教育効果が得られるか検討をおこなう。D-1)これまで取得されたデータから深層学習と強化学習を使って学生実技を「撮影」するだけで、その場で良否や改善点の指摘が行えるAI開発目指す。
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Causes of Carryover |
本課題の2019年度計画で計上した旅費および謝金はそれを支出しなかった。一方、行動観察記録のための撮影機材費および、調査のための書籍・文献等複写が多く物品費が想定を超えた。次年度使用額は、その他・区分で計の次年度ソフトウエア開発受託契約のさらなる充実に組み込むことを計画する。研究期間全体を通じた経費使用に大きな変更はなく、研究計画に沿って推移している。
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Research Products
(3 results)