2022 Fiscal Year Research-status Report
医療面接における共感場面の社会的・生理的特徴からの客観的解明
Project/Area Number |
19K10523
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
阿部 哲也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20411506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 順滋 関西医科大学, 医学部, 講師 (60368248)
串田 秀也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70214947)
川島 理恵 京都産業大学, 国際関係学部, 准教授 (00706822)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 共感 / 会話分析 / 心拍変動 / 医療面接 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医師の共感的発言が臨床場面で果たす機能を、医師と患者双方の自律神経機能の共時的な変動状態と、言語的やりとりから解析可能な相互行為の2側面から分析し、共感の客観的な評価方法を確立することである。 2022年度はまず、より簡便に2台のワイヤレス心電図計を同期させ、医師と患者の心拍変動の共時的な変化をとらえるためのシステムを構築した。これによって計測が安定化し、共感的応答がより出現しやすいと考えられる心療内科外来での診察場面のデータを16例収集した。 次に、会話分析を用いた共感的発言の解析では、上記データに加えて総合診療科外来での300例を超えるデータから、この場面に現れる特徴的応答を観察した。患者の訴える負担への了解を伝えるという医師のこの実践には、共感対象への新たな意味付けを伝えること、患者からの新たな情報提供を促すこと、話題を収束させること、患者の発話継続の意思を確認することの4つの機能が存在した。これらに対する患者の受け取り応答には、沈黙、直前の話題を継続、新たな語りの展開の3つの反応がみられた。また、この患者の応答に影響しうる要因として、医師の共感的発言が主語(指示代名詞)を伴うかどうか、現在形か過去形か、共感対象が直接診療対象となる内容かどうか、医師が患者を見ているかどうか、が抽出された。さらに、これらの相互行為は病歴聴取中なのか、診察終了間際なのかといった診察の全体構造の中での位置によっても出現傾向に特徴があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ワイヤレス機器による心拍変動の安定しないために、試行錯誤を繰り返しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
心拍変動の計測上の問題点は概ね解消したため、現行の方法で研究は推進可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
国内外への学会出張が制限されたためである。翌年度は、現行通りの研究計画で予算を執行していく。
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