2022 Fiscal Year Research-status Report
病院機能に応じた院内虐待対応組織の役割についての研究
Project/Area Number |
19K10525
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
田上 幸治 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (20720981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 病院 / 院内虐待対応チーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の概要を以下に示す。 背景:子ども虐待の相談件数は年々増加し、悲惨な虐待事例の報道は後を絶たない。社会の子ども虐待への関心は高まり、2016年と2017年には児童福祉法が改正された。 目的:医療機関のChild Protection Teams: CPTsの普及率とCPTの機能を明らかにし、2015年に行った同様の調査と比較、検討した。方法:2020年9月に小児の臓器移植に係る全国421医療機関を研究対象とした。アンケートの項目は、CPTの有無,前年度1年間にCPTで検討された症例数と虐待通告した症例数、CPT の機能、および病院サービスであった。結果: 421 機関のうち、286 機関 (67.9%) が調査に回答した。これらの機関のうち、252 機関 (88.1%)がCPTを設置していた。1 年間に検討された症例数と虐待通告した症例数の中央値は21.0 および 4.0 で、前回の調査では 11.0 と 4.0 であった。8 (4.5%) 機関では、1年間に症例検討が無く、54機関 (30.5%)で1から10件であった。前回の調査では 12機関 (10.4%) と 41 機関 (35.7%) であった。結論:社会状況の変化の中で、医療機関はその役割を果たすことが期待され、これらの目標を達成するための機能を向上させてきた。検討される症例の数は増加し、CPT の機能は向上したと考えられる。2022年の診療報酬改定では養育支援加算が制定され、さらにCPTの充実が図られていると思われる。 2022/4/17日本小児科学会学術集会で「第二回院内虐待対応チーム全国調査」を口頭発表した。また、2022/12/18日本子ども虐待防止学会で「療育支援加算とれていますか?第二回院内虐待対応チーム全国調査」を口頭発表した。現在、論文作成を協働研究者と進めている。今月中には投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通りに進み、調査、データ解析など完了した。幾つかの学会で発表し、論文も近日中に投稿できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
論文を投稿し、査読者とのやり取りを行う。当初は院内虐待対応チームのガイドラインの作成も考慮していた。一定の強制力が必要と考えていたからだ。前回の調査や子どもを取り巻く社会状況の変化の中で、子ども虐待への関心も高まった。2022年4月には診療報酬改定があり、療育支援加算が認められた。概要は、虐待対応における、専任の医師、看護師、社会福祉士がいて、プロトコールが整備され、院内の啓発活動を年に二回以上行えば、すべての入院患児について300点の加算が付くというものである。これにより、大きく院内虐待対応チームが充実させる動きになっている。今後、このような流れを注視しながら、子ども達のよりよい未来のために励みたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染にともない国際学会の発表は現地に赴くことができず、webでの参加となったため使用額が抑えられた。論文作成および消耗品の購入に充てたい。
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