2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者施設の種類と特徴に応じた救急・災害医が関与した災害計画と訓練手法の開発
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19K10532
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
射場 治郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40570536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 光雄 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70597830)
若井 聡智 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (30539276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪市内の訪問看護事業者に対して災害時アンケートで次の結果が得られた。災害対応マニュアルは全体の47%の事業所でしか準備されておらず、災害訓練も30%程度しか行われていなかった。職員の身体的な被害は報告されなかったが、約10%の事業者が職員にストレスがかかった、精神的に疲弊したと回答した。人員確保に問題が生じた事業者は全体の30%認め、子供の学校や幼稚園などが休校・休園となった場合には半数以上の職員に影響が出るということが明らかとなった。災害時の人員確保のための事前準備を行っている事業所は全体の17%程度であり、事前準備の必要性があると考えられた。訪問看護事業者に特有の問題として、通信障害によって利用者との連絡がつかなくなり直接訪問しなければ安否が確認できなくなってしまったことや、停電に伴う在宅で呼吸器を使用している患者のバッテリーの問題などが明らかとなった。 2019年秋に大阪市内の訪問看護事業者を対象にした災害研修(BCPワークショップ)を実施した。2020年2月の沖縄県訪問看護事業者に対する災害研修と2020年3月の熊本県阿蘇地区の高齢者施設の職員に対する災害研修の計画はCOVID-19対応により中止となった。 2020年初めからのCOVID-19対応により、大人数に対する研修の開催が困難になっている。また特にワークショップやロールプレイといった机上訓練が、今回の災害訓練において重要な位置を占めるが、それらをどのように変更し、どのように置き換えていくか、それもこのCOVID-19対応下の重要な課題である。 災害計画・訓練手法において、感染症の流行への対応を見据えたものとする必要がある。今後のアンケートやオンライン研修で得られる新たな問題点や各々の施設での工夫などを取り入れ、感染症の流行への対応も見据えた災害計画、訓練手法を作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪府内の高齢者施設に対する災害時アンケートに続いて、2019年8月から9月に大阪市内の89件の訪問看護事業者に対して大阪府北部地震や台風被害などによる災害時のアンケートを実施した。【アンケート結果】災害対応マニュアルは全体の47%の事業所でしか準備されておらず、災害訓練も30%程度しか行われていなかった。全体の60%の事業者が災害時に困難を感じたと回答した。職員の身体的な被害は報告されなかったが、約10%の事業者が職員にストレスがかかった、精神的に疲弊したと回答しており、精神的負担が大きいものと考えられた。人員確保に問題が生じた事業者は全体の30%認めた。人員確保の問題は高齢者施設のアンケート結果と同様であり、災害時の大きな課題の一つであると考えられた。具体的には公共交通機関のストップ等に伴う職員本人の通勤に関する問題、子供などのケアを必要とする家族対応の問題、災害時に出勤することに対する家族の理解の問題などがあげられた。特に子供の学校や幼稚園などが休校・休園となった場合には半数以上の職員に影響が出るということが明らかとなった。その一方で災害時の人員確保のための事前準備を行っている事業所は全体の17%程度であり、事前準備の必要性があると考えられた。また、訪問看護事業者に特有の問題として、通信障害によって利用者との連絡がつかなくなり直接訪問しなければ安否が確認できなくなってしまったことや、停電に伴う在宅で呼吸器を使用している患者のバッテリーの問題などが明らかとなった。 【研修について】2019年10月25日に大阪市内の訪問看護事業者を対象にした災害研修(BCPワークショップ)を実施した。2020年2月29日の沖縄県訪問看護事業者に対する災害研修と2020年3月の熊本県阿蘇地区の高齢者施設の職員に対する災害研修の計画はCOVID-19対応により中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケートにより高齢者施設や訪問看護事業者における災害時の問題点を抽出し、それらを改善するために、特にBCP作成などに関わる研修を行った。しかし、今年初めからのCOVID-19対応により、大人数に対する研修が困難となっている。また特にワークショップやロールプレイといった机上訓練が、この災害訓練において重要だと考えられるが、それらをどのように置き換えていくか、それもこのCOVID-19対応下における重要な課題だと考えられる。 【今後の方策】まず、協力施設に対して聞き取りを行って、COVID-19対応下の介護の問題点を明らかにしてそれを研修に加えるとともに、COVID-19対応が継続する中でも研修を行うために、研修内容自体をオンライン研修にも対応できるように修正する。また、前年度に研修を行う予定であった施設や大阪・奈良の高齢者施設を対象として、修正・作成したオンライン研修プログラムを用いて研修を行うとともに、それぞれの施設から施設の種類に応じた問題点を研修の中から抽出する。 アンケートやオンライン研修で得られた新たな問題点や各々の施設での工夫などを取り入れ、感染症の流行への対応も見据えた災害計画、訓練手法を作成する。
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Causes of Carryover |
前年度終わりからCOVID-19対応がありましたが、今年度からは可能な限り学会発表などを行う予定です。よろしくお願いします。
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