2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害の避難者における健康被害の要因解明と新たな提言
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19K10535
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
笠岡 俊志 熊本大学, 病院, 教授 (90243667)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熊本地震 / 避難所 / 健康被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年4月に発生した熊本地震では整備されてきた災害医療体制の効果が発揮された部分もあるが、一方で、多数の被災者が発災後の車中泊やストレスの多い避難所で長期間の避難生活を余儀なくされることによって心身両面での健康悪化や災害関連死を生じるに至っている。そのため避難者の健康被害を防止する新た対策が必要と考えられる。 本研究は平成28年熊本地震の発災後に地域の避難所から救急搬送された被災者を対象に健康被害の発生状況や転帰を詳細に調査し、避難所の生活環境も加味して発症要因を分析し、避難所における健康管理に有用な新たな指針を作成することを目的とする。 そのために、まず熊本大学病院の倫理審査委員会に審査の申請を行い承認を得た。さらに当院のホームページにおいて研究の実施に関する情報提供を開始した。 次に、熊本地震の発災後に避難所から救急搬送された傷病者情報を熊本市消防局から取得した(年齢、性別、症状、身体所見、搬送先医療機関、避難所名など)。救急搬送データの整理を行い、避難所および搬送された医療機関の情報を得た。 それに基づき、避難所の活動状況に関する情報提供を熊本市保健所に依頼した。さらに傷病者が救急搬送された医療機関に情報提供の依頼を開始した。 本研究の遂行に最も重要な消防機関の有する傷病者情報を得ることができ、搬送された医療機関の有する傷病者情報と関連づけることで傷病者の特徴を詳細に検討することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の遂行に最も重要な消防機関の有する傷病者情報を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
救急搬送データから抽出された避難所の状況を保健所から収集する。次に傷病者が救急搬送された医療機関に依頼し傷病者情報を収集する。 消防機関および医療機関から得られる傷病者情報と保健所から得られる避難所情報の関連を詳細に分析し、避難所における健康管理に有用な新たな指針を作成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため参加予定としていた学術集会が中止となり旅費が大幅に減少した。令和2年度分と合わせて旅費や人件費として使用する予定である。
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