2023 Fiscal Year Annual Research Report
医療従事者由来手指細菌を指標とした日本における感染制御の構築
Project/Area Number |
19K10539
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
一ノ渡 学 岩手医科大学, 看護学部, 講師 (00360701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 院内感染対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
<新型コロナウイルス流行後の医療従事者由来手指細菌表現型の変動> 2020年からのコロナウイルスの伝播が報告された中で各医療機関はその対応に追われたが、感染症法の定義の変更により一見流行前の状態に戻ったかのように捉えられている。しかしながら消毒の分野においては検出されないことと細菌の状況把握が一体ではなく、実態を調査することは重要である。そこで最終年度では医療従事者由来手指細菌の表現型の変動についても着目し検討を行った。 その結果、最終年度においても通常24時間の培養で検出される保菌細菌は見られず48時間の培養を要して主に表皮ブドウ球菌株が検出され、コロナウイルス流行後から医療従事者の保菌細菌の発育遅延の現象が確認された。検出株においてはさらにリボースの偽陽性株が多く通常の細菌検出では判断できない現象が確認された。 <研究期間全体を通した成果について> 本研究の草案当初は、クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)を含有したラビング消毒が一般化していく中で、消毒成分としては単一製剤による感染制御の実施に依存することの危惧を検証する意義を持って実施した。消毒分野は見えないことが効果があると判断するため、医療従事者の手指は決して滅菌はできないことから手指細菌の状況を把握することを重視せずにCHGの使用濃度および量が増加していく傾向は危険であると考え研究を遂行した。その結果消毒では除くことのできないバシラス属の検出が確認できたり、発育の遅延によっても検出が難しくなっている可能性を示唆する結果を得た。そういった中で新型コロナウイルスの流行により一時的に消毒薬の流通も変化し医療従事者の手指衛生の意識も変動したと考える。実際は手指細菌の発育遅延がさらに進み表現型の変化していることが示唆された。このことは手術時の感染源の把握がさらに困難となることを示し、本研究の意義が大きいことを指すと考えた。
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