2019 Fiscal Year Research-status Report
医療事故調査制度の再発防止策の提言のクローズドクレームを用いた検証研究
Project/Area Number |
19K10542
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大滝 恭弘 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60464004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クローズドクレーム / 医事紛争 / 医療事故 / 医療過誤 / 患者安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療事故情報源の一つとして病院・医師賠償責任保険を取り扱う保険会社の保有するクローズドクレーム(法的に決着の付いたクレーム)が存在する。欧米では、以前から医療事故情報の一つとしてクローズドクレームが注目を集め、その分析成果は臨床に還元されて各領域の医療安全の向上に寄与してきた。しかし、これまで本邦では、クローズドクレーム分析は行われてこなかった。近年は本邦でも医療安全が注目を集め、医療事故の再発防止を目的に、様々な対策がとられるようになり、医療事故情報の共有もその一つとして重要であると考えられるようになった。われわれは、損保ジャパン株式会社(SJ社)の協力のもと、本邦ではじめてクローズドクレームの分析を行い、医療事故情報源の一つとしてのクローズドクレームの有用性を明らかにし、その分析成果の日常の臨床への還元可能性を示してきた。そして、さらなるクローズドクレームの活用のためには、クローズドクレームを収集・分類・整理し、クローズドクレームデータベースを開発することが必要であるとして、クローズドクレームデータベースの構築を進めている。一方、本邦において2015年から日本医療安全調査機構により医療事故調査制度の運用が開始され、そこで収集した医療事故事例は詳細に分析され、各種の医療事故の再発防止策の提言が発出されている。本研究では、SJ社の保有するクローズドクレームを用いてこれらの提言の有用性を検討することを目的とする。研究初年度の2019年度は、まず、対象を中心静脈栄養(IVH)に関する医療事故に限定して、事案の収集を行った。事案の収集は完了したため、2020年度はこれらを分析し、上記再発防止策の有用性の検討を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である2019年度は、まず、第1回の提言の対象事案である中心静脈栄養に関連する事故をクローズドクレームの中から抽出した。抽出において事案の詳細を検討する必要があり、思った以上に時間がかかったため、当初の想定よりも研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出が終了したため、2020年度には中心静脈栄養に関する事故の分析を行い、論文化に向けて研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
中心静脈栄養に関するクローズドクレームの抽出に時間がかかり、当初よりも研究の進捗が遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度には次年度使用額も含めて消化が見込まれる。
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Research Products
(1 results)