2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on uneven distribution of nursery for children with mild acute illness in Japan
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19K10547
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
江原 朗 広島国際大学, 医療経営学部, 教授 (30507215)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 病児保育 / 子育て支援 / 小児科 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)地方別および市町村別の乳幼児人口に対する病児対応型保育施設の合計保育定員を計算し,乳幼児人口と病児対応型保育施設の定員との間の単変量解析を行いました.この結果,市町村の病児対応型保育施設の合計保育定員と0~6歳児人口との間には強い相関(Pearson の積率相関係数 r=0.777,p 値<0.001,市町村数1,734)があることを明らかにしました(江原朗.小児保健研究 2019;8:649-654).
2)全国の市町村における病児対応型保育施設の有無について,人口学的要因,医療資源上の要因,財政的要因および地方・人口規模のカテゴリによる多変量ロジスティック解析を行いました.人口当たりの一般保育所在所者数や在所者数に対する小児科医師数が多いこと,市町村の財政状況が良いこと,病児対応型保育施設があることと正の相関を示すことを明らかにしました(江原朗.日本医師会雑誌 2020;148:2225-2231).
3)重回帰分析(線形回帰)により,各市町村における病児対応型保育定員を,一般保育所在所数,小児科医師数,実質単年度収支および市町村の所在する地方,市町村の人口規模のダミー変数により説明しました.この結果,各市町村の病児対応型保育定員は,一般保育所在所者千人あたり1.806人,小児科医師数1人あたり0.071人,市町村の実質単年度収支10億円あたり0.735人増加することを明らかにしました.調整済み決定係数(R2)が,0.684であり,約7割がこれらの因子で説明することができました(江原朗.厚生の指標 2020;67:8-13).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)統計数値を用いた解析でほぼ予想と一致した結果が得られました. 病児対応型保育施設の定員について,まず,単回帰分析によって乳幼児人口および総人口と強い相関があることを明らかにすることができました.また,こうした保育施設の定員について,人口学的,医療資源的,財政的な因子による多変量解析を行ったところ,これらの因子と相関があり,(一般保育所在所者数)>(小児科医師数)>(実質単年度収支)>(地方のダミー変数の最大値,中国地方)>(人口規模のダミー変数の最小値,政令指定都市)の順で影響が多いことを明らかにできました.これらの結果は,当初の予想と一致するものであり,アンケート調査いよる実証研究を進めるにあたり問題を生じませんでした.
2)病児対応型保育施設がある市町村およびない市町村へのアンケートの回収率が高率でした. 幸いなことに,利用者数に関するアンケート調査を病児対応型保育施設がある市町村に実施して解析中ですが,回収率が約8割に達しました.さらに,これらの施設のない市町村へのアンケート調査も行っていますが,同様に回収率が約8割に達しています. 現在解析中ですが,情報公開請求等の手続をせずに高率な回収率を得られたことは,令和2年度の研究の進行に大変好ましい結果となりました.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,病児対応型保育施設の利用と未整備の理由に関する実証研究が主体となります.令和元年の統計資料を用いた知見を市町村へのアンケート調査により実証的に検証し,病児対応型保育施設を全国あまねく整備するための手段を明らかにしていきたいと思います.
1)現在,回収されたアンケート結果をもとに解析中ですが,病児対応型保育施設のある市町村から実際に病児対応型の利用者数等の数値を得て,病児対応型保育施設の利用者数について人口学的,医療資源的,財政的な因子による多変量解析を実施する予定です.
2)こちらも回収されたアンケート結果をもとに解析中ですが,病児対応型保育を実施できない市町村に対して,病児対応型保育を提供できない理由について実証的な解析を進めていきます.
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Causes of Carryover |
受取人払いによるアンケート回収を行ったため、回収数が当初の予定よりも少なったために、令和元年度の支出が少なくなりました。なお、令和元年度3月期の受取人払いは令和2年4月中に請求が来る予定です。
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