2019 Fiscal Year Research-status Report
在宅療養を実現可能にするための全国コホート研究:東アジアの文化・社会的視点から
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19K10551
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長岡 広香 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40790978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
浜野 淳 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10709190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在宅医療 / 苦痛症状 / 緩和ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、在宅がん患者の身体・精神症状の実態や、在宅で行われた治療に関するデータを解析した。主な結果としては、在宅がん患者の約10%で過活動せん妄が見られ、特に、亡くなる3日前には、約5%の患者が過活動せん妄の状態であったことが明らかになった。また、在宅で行っていた治療(医療用麻薬、抗生剤、鎮静剤など)や、医療的ケア(在宅酸素、カテーテル管理)実態や、関連する要因について、検証した結果、在宅がん患者は、入院中のがん患者に比べると、身体・精神症状の頻度が少ない傾向にあることが示唆された。これらのデータを詳細に分析し、次年度以降に論文発表していく予定である。そして、次年度は、この調査に参加した患者のうち、自宅で最期を迎えた約660名の患者遺族を対象に、在宅における医療・ケアの理解・認識や在宅がん患者の遺族が感じた介護負担感や家族内葛藤の実態を明らかにする調査を実施するため、今年度は、研究計画書を作成し、倫理委員会に提出した。この調査では、過活動せん妄があった患者の遺族が、どのような辛さを感じていたか?など、患者の身体・精神症状が遺族に与えた影響をアキラ化していく予定である。また、在宅患者や家族が望む在宅療養を実現するための課題とその解決策を明らかにするために、在宅高齢者および家族における特徴的な身体的・精神的な苦痛症状の実態と変化を明らかにする新たな調査を準備・計画し、今年度、開始した。開始後3か月で、約200件の患者登録があり、約140件のご家族から調査票を返送して頂いている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するために必要な調査を複数準備、開始することができ、患者登録、データ収集も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
在宅がん患者の身体・精神症状の実態や、在宅で行われた治療に関するデータを詳細に分析し、論文化していく。また、在宅における医療・ケアの理解・認識や在宅がん患者の遺族が感じた介護負担感や家族内葛藤の実態を明らかにする調査と、在宅高齢者および家族における特徴的な身体的・精神的な苦痛症状の実態と変化を明らかにする調査を進めることで、本研究課題の目的を達成していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、在宅がん患者の身体・精神症状の実態や、在宅で行われた治療に関して、診療情報から得られる数的データについて、集計・解析を進めたが、当初、予定していた家族からの質的データについては、研究計画の立案・実施フィールドの確保が進まず、実行できなかった。次年度は、数的データの結果も踏まえて、質的データに関する研究計画の再検討および、実施フィールドの確保について進めて行く予定である。そのため、今年度、使用する予定だった、人件費やデータ解析費用を次年度に執行していく予定である。
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Research Products
(13 results)