2023 Fiscal Year Annual Research Report
Application for liquid biomarker as a medical communication tool in oncology practice
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19K10569
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Research Institution | Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
荒木 和浩 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (80406470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 栄養 / 慢性炎症 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はがん薬物療法時における包括的なコミュニケーションツールとしてのリキッドバイオプシーの妥当性を探索的に研究することであった。そのため、腫瘍組織そのものではなく、宿主側の要因を対象として研究を行った。 研究期間に353症例が免疫チェックポイント阻害薬(ICI)で治療され、そのうち、2サイクル未満の39例を除外した。さらにICI単剤でない63例を省き、251例を解析対象とした。年齢中央値は69(19-88)歳、男性が約75%。ニボルマブが約6割,ペムブロリズマブが約3割であった。肺癌と消化器癌が各々3割、腎泌尿器癌が2割、頭頸部癌が1割であった。ICIの投与期間中央値は64(14-1667)日、同様に生存期間中央値は310(28日-2115日)。前治療歴は1/2/3レジメン以上がそれぞれ約10、30、60%。最良抗腫瘍効果は完全寛解2%、部分奏効が約15%、不変が40%、進行が45%。単・多変量解析でのICI治療期間に影響する因子は、C-反応性タンパク/アルブミン比、グラスゴー予後スコア、予後栄養指標であった。 これらの結果より、がん化学療法が不要な手術例や非悪性疾患を対象とした既報と同様に、慢性炎症関連因子が、ICIでも影響を及ぼす可能性が示唆された。がんを含む慢性疾患は炎症性疾患であり、宿主の栄養障害が免疫関連因子に影響を与えるため、治療時の栄養状態評価も重要で、腫瘍そのもののバイオロジーの特徴だけでなく宿主の全身状態の把握にも留意すべきである。 ICIを含むがん薬物療法においても、栄養障害が治療効果に影響する可能性が示唆される。不適切な栄養管理による慢性炎症を発症させないことが、がんも含め様々な慢性消耗性疾患の発症予防に連結する可能性がある。適切な食事も含めた健康管理が病気の発症予防のみならず、治療効果の改善への関連が期待される。
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