2019 Fiscal Year Research-status Report
卒前と卒後を連続したリハビリテーション技能の育成に関する評価ツールの開発と検証
Project/Area Number |
19K10570
|
Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
平上 二九三 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (60278976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 圭介 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20325913)
井上 茂樹 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40531447)
原田 和宏 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80449892)
井上 優 吉備国際大学, 保健福祉研究所, 準研究員 (90726697)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 理学療法士 / 臨床実習教育 / 自己評価チェックリスト / 学生の成長実感 / 学修成果の可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、卒前と卒後を連続したリハビリテーション(以下リハビリ)技能の育成に関する評価ツールを開発し検証することである。そのために、初年度は、研究代表者らの先行研究を基にリハビリ技能の評価観点を明らかにし、理学療法士を養成する臨床実習教育を振り返り、リハビリ専門職を目指す者一人ひとりを成長へと導くための自己評価チェックリストを開発し有用性を検証した。 対象は、2019年に総合臨床実習の前期8週と後期8週、および実習の振り返り授業を履修した吉備国際大学理学療法学科の4年生48名であった。「成長のプロセス」チェックリストを4年次前期実習の開始前と終了後に用い、その前後から成長実感を可視化した。一方、「リハビリの実践技能」チェックリストを後期実習終了後に用い、その後の振り返り授業を通して学修成果を可視化した。両者の可視化について、成長実感に対する満足度は全体で70%が、また、学修成果では65%が学生の自己認識とマッチしたとの回答を得た。自己評価チェックリストを活用することで、学生は自己理解を深め、卒後に身に付ける必要な力の気づきに寄与することが確認された。 一方、卒後のリハビリ技能の育成については、卒後1~2年(指導のもとにできる)から卒後3~4年(自立してできる)、さらに卒後5~6年(指導ができる)に用いる自己評価チェックリストの開発が不可欠である。そのために、職場の人材育成と成長プロセスに関する先行研究を基に自己評価チェックリストを試作した。卒前と卒後を合わせた自己評価チェックリストは、今後、リハビリ技能を効果的で効率的かつ魅力的に伝えて成長を促すため、実際に臨床現場で活用し検証していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年に実施した卒前の臨床実習教育で収集し分析した結果を基に、必要であれば質問項目の記述文などの改善や追加など修正を引き続き行う。また、卒後に関しては、卒後1~2年用と卒後3~4年用、および卒後5~6年用に試作した自己評価チェックリストを院内研修の症例検討会において活用し、臨床実践教育の有用性を検証する。そのために、データ収集に向けて量的研究調査の準備を進めていたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて全国的に臨床実習が中止となったことなどから、2020年度に予定していた調査に遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
リハビリ技能の育成に関する自己評価チェックリストは、実践過程の中で気づき与える総合的なリストであるとも言える。したがって、本研究では卒前と卒後を連続した人材育成の観点から、実践過程のプロセスごとに必要となるリハビリ技能が、どのようなものかを具体的に示す必要がある。そのために、リハビリ技能の育成に関する評価ツールとして、各プロセスにおいて本質的な問いに応えることで技能が身に付くように支援するためのプロセスマネジメントモデルを試作している。このモデルは、非認知能力を多分に含み曖昧で捉えどころのないリハビリ技能について、その技能の要素は何かをより精緻に把握するものとしてイメージしている。 リハビリのプロセスマネジメントモデルは、個人レベルと組織レベル、および病院レベルの3層からなり、ステップ1からステップ3までのリハビリ技能を想定している。ステップ1は全体像を捉える技能、ステップ2は介入ポイントを見つける技能、ステップ3は解決策を言語化する技能としている。このモデルは、各ステップで指導者が、3つの壁を乗り越えて行けるよう学習者に対し、その要素や要因は何かを示し、どのような働きかけやサポートを行なうのかということを図式化している。 指導者と学生および療法士が、このモデルの中で実際の症例に照らし合わせて確認などの共同作業を行うことで、必要なリハビリ技能を身に付けることができると考えている。そのために、各ステップの工程表やポートフォリオなどの書式を整え、実際にリハビリ現場での運用に向け準備を進めている。今後、本モデルを活用した臨床教育研修システムについて、研究発表や論文執筆を行なう予定である。
|
Causes of Carryover |
2019年度に373,916円が繰り越しとなった理由は、自己評価チェックリストの開発が学内教育で行なえたことから必要経費が少額となったこと、加えて、新型コロナの影響で予定していた2020年3月11日~18日の海外旅費166,335円、および3月23日~24日の国内旅費45,580円が取消しとなったためである。次年度より量的研究調査において使用することにより有効に活用したい。 2019年度は、研究代表者が主に卒前の臨床実習教育、また、研究分担者1名が臨床現場の研究成果を基に療法士のリハビリ技能の向上と成長に関する検討を行ってきた。これまでに開発した自己評価チェックリスト、およびリハビリのプロセスマネジメントモデルの試作、これら2つの評価ツールについて研究分担者全員で検証するために、予算の計画的かつ効果的な執行に努めていく。
|
Research Products
(23 results)