2019 Fiscal Year Research-status Report
2-エチル-1-ヘキサノールの長期吸入曝露による肝毒性リスクの顕在化
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19K10578
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三宅 美緒 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (80128610)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 2-エチルヘキサノール |
Outline of Annual Research Achievements |
シックビル症候群の一つである2-エチルヘキサノール(2EH)は、可塑剤であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)が分解して室内に放出される。マウス経口投与の報告では、2EHはDEHP同様ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(PPAR)αを介した肝毒性を示すことが知られているが、吸入曝露による報告はない。そこで本研究では、3か月及び6か月吸入曝露によるマウス肝臓の毒性変化の有無を(PPAR)αを介した経路を含めて明らかにする。予備実験で、マウスに2EHを0(清浄空気)、20、60、150 ppmの2EHを3か月間吸入曝露すると、150 ppmで相対肝重量が増加することを明らかにしている。 本研究では、マウスに0(清浄空気)、0.5、10、100 ppmの2EHを6か月間吸入曝露した。肝重量はすべての曝露群において増加しており、100 ppmでは相対肝重量も増加していた。 吸入曝露後の肝臓のパラフィン切片をヘマトキシリン・エオジン染色したところ、3か月間吸入曝露では曝露濃度依存的な脂肪滴の増加が確認されたが、6か月間吸入曝露ではコントロールと比較して変化がなく、同様の傾向は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた、「2EH吸入亜慢性、慢性曝露後の肝臓病理学的変化の精査」を実施することができた。さらに、2年目の予定である「2EH吸入亜慢性、慢性曝露後の脂質異常の精査」に取り掛かることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2EH吸入曝露後の肝臓の各種脂質量及びタンパク量を測定し、コントロール群との比較を行い曝露による影響を評価する。
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Causes of Carryover |
これまでの研究で、2EH亜慢性曝露と慢性曝露における肝臓の変化に違いが見られることがわかり、当初想定していた肝毒性発症の経路とは別の作用機序を考える必要があり、その作用機序解明に多数の抗体が必要となったため、次年度にお金を繰越した。
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Research Products
(1 results)