2020 Fiscal Year Research-status Report
人間ドックコホートバンクを用いたがん自然史理論の基づく肺がん発症リスクの定量化
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19K10579
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 達郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50382049)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人間ドック / 胸部CT検査 / 要精密検査 / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部単純X線検査は肺疾患、特に肺癌のスクリーニングとして人間ドック、検診において大変重要な検査です。肺癌は他の癌と比し進行が速く1回の見落としが治癒の機会を奪うこともありえます。その一方で、胸部単純X線検査には診断の限界があり、陳旧性肺結核などの病変がある場合、肺癌の指摘が困難な場合もあります。我々は、MedCity21人間ドックにて呼び出しシステムと名付けた本格的に精度管理を行い受診勧告を行っています。胸部X線検査、胸部CT検査にて要精密検査と判定されれば附属クリニック外来に受診勧告するシステムです。胸部の場合は、検診受診の翌週には専門外来受診していただき、即日CT検査を施行しています。2018年1年間で、胸部X線検査を施行した健診者は12540例であり、胸部X線検査にて要精密検査は326例(2.6%)でした。そのうち、73%が当院CT検査を施行されました。2019年は1年間で、胸部X線検査を施行した健診者は13690例であり、胸部X線検査にて要精密検査は334例(2.4%)でした。そのうち、70%が当院CT検査を施行されました。2020年は現在解析中ですが、概算ですが、1年間で、胸部X線検査を施行した健診者は12070例であり、胸部X線検査にて要精密検査は293例(2.4%)でした。そのうち、74.4%が当院CT検査を施行されました。リピーター/初回受診の比率は2018年55/45%、2019年57.5/42.5%、2020年66.8/33.2%でした。肺癌症例は2018年6例、2019年4例、2020年4例でした。肺がん発見率は2018年から順に10万人中56.2人、29.2人、及び、33.1人でした。2020年はCOVID-19の影響もあり4月、5月の健診を中止、また、6月以降も人数制限を行ったため初回受診者が制限されリピーターがより多くなり新規肺がん症例が少なくなった可能性が高いと考えられます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年はCOVID-19の影響もあり4月、5月の健診を中止、また、6月以降も人数制限を行ったため受診者の減少が見られた。また、それに伴い、COVID-19診療、対応に忙しく研究時間を削減せざるを得なかったため
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Strategy for Future Research Activity |
予定では、2021年も症例を増やしていく予定です。血漿保存例が20例程度になれば、遺伝子解析等も考慮していく予定です。リピーターによる肺がん発症症例において、老化因子、PlasmaFree DN、炎症性サイトカイン等の考えられるマーカーを測定し経年変化を観察します。また、現況を英文で論文化し、現在投稿中です。
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Causes of Carryover |
消耗品においては、症例をもっと集めてからの執行となるため、購入は控えている。今後、統計ソフト、解析ツール、スキャナ、ピペット等を揃えていく予定です。また、人間ドックを円滑に進めていくため、COVID-19対策が重要となってきました。現在、大阪では、1000人/日の新規発症がありこの環境下での運営のため、様々な対策をする必要があります。研究遂行のため必要に応じて予防のための物品を揃える可能性があります。
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