2019 Fiscal Year Research-status Report
芽胞形成・毒素産生環境の制御に焦点をあてたウェルシュ菌食中毒予防に関する基礎研究
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19K10580
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安木 真世 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40589008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウェルシュ菌 / 食中毒 / 芽胞形成 / 胆汁酸 / Spo0A |
Outline of Annual Research Achievements |
胆汁酸によるウェルシュ菌の芽胞形成・毒素産生メカニズムを明らかにするために、芽胞形成マスターレギュレーターSpo0Aのリン酸化に関与する細菌因子の同定を目的としている。本年度の成果は以下の通りである。 ①ランダムミュータジェネシス法により選択された候補遺伝子の変異体(欠損株と補完株)を作製した。芽胞形成を評価したところ、欠損株で芽胞形成の抑制が認められたが、補完株で表現型が復帰しなかった。標的遺伝子以外に変異が起こった可能性があり、再度変異体の作製を行う必要があることが明らかとなった。 ②酵母2ハイブリッド法(スクリーニング法)により、Spo0Aと相互作用する1遺伝子の存在が明らかとなった。本遺伝子は機能未知であるが、芽胞形成に関与する新たな遺伝子の可能性がある。本遺伝子を更に評価することで芽胞形成メカニズムの一端が明らかになることが期待される。 ③酵母2ハイブリッド法(1:1法)により、Spo0Aを直接リン酸化し得るヒスチジンキナーゼの関与の有無を評価した。本酵母2ハイブリッド法では、酵母においてヒスチジンキナーゼの発現が認められず、評価することはできなかった。 ④長年ウェルシュ菌食中毒株で遺伝子改変が可能な株は1株であった。制限酵素の遺伝子欠損を行うことで、遺伝子改変可能な株を新たに樹立した。更に、食中毒分離株のスクリーニングにより改変可能な1株を発見した。これら複数株を用いることで、注目している現象の普遍性の評価が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に作成した研究スケジュールに対して、概ねスケジュール通りに研究を遂行した。ランダムミュータジェネシス法における候補遺伝子の変異株の再作製が必要であるが、作製代替案と必要な試薬は全て整っており、順調に進むものと考えられる。また酵母2ハイブリッド法では候補遺伝子であるヒスチジンキナーゼの評価は行えなかったが、スクリーニング法でSpo0Aと相互作用する1遺伝子の存在が明らかとなった。本遺伝子に焦点を絞り研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究スケジュールに則り、ランダムミュータジェネシス法と酵母2ハイブリッド法の候補遺伝子の変異体の作製・評価実験を行う。また、共免疫沈降法を用いて胆汁酸と結合するタンパク質の同定を行う。
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Causes of Carryover |
当初予期していなかった研究結果(ランダムミュータジェネシス法による候補遺伝子の変異体の機能不全、酵母2ハイブリッド法でのヒスチジンキナーゼの発現不全)により予定していた実験を中止したため、次年度使用額が生じた。本額は変異体の再作製に必要な消耗品費とする。
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Research Products
(9 results)