2019 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症薬によるがん発生および悪性化の抑制機構の解明と戦略的がん化学予防
Project/Area Number |
19K10585
|
Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (10025637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎屋 友幸 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (60803260)
大西 志保 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (80511914)
平本 恵一 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (90251793)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | グリチルグリチン酸 / HMGB1 / AOM/DSS / DNA損傷 / 炎症 / 大腸がん予防 / がん転移予防 / TLR2/4 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍形成時やがん組織周辺の炎症部位では、炎症関連DNA損傷が誘発され、がんの発生や悪性化を引き起こすことが明らかになった。炎症シグナルとして働き、最近がん治療の標的分子として注目を集めているHMGB1(High-Mobility Group Box1)が、遺伝子変異や細胞死誘導の繰り返しに重要な役割を果たしていることから、本研究では、HMGB1特異的阻害剤で抗炎症薬のグリチルグリチンによる炎症関連DNA損傷抑制機構を解明した。 また、本研究では炎症性微小環境中での抗炎症薬による炎症関連DNA損傷制御の分子機構を解明することにより、がんの発生のみならず悪性化、特にがん転移も制御する新しい戦略的がん化学予防法を開発することを目指した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大腸がんモデルマウスをAOM/DSSで作成し、グリチルグリチンを投与すると大腸がんが予防出来た。そのメカニズムとして、グリチルグリチン酸はHMGB1に結合することでその働きを抑制し、TLR2/4が繋がる炎症性サイトカインの分泌性を抑え大腸がんが予防された。マウスのメラノーマ肺転移を作成しグリチルグリチンを投与すると肺転移が抑制された。そのメカニズムとして、グリチルグリチンはHMGB1を結合することにより、標的分子のRAGEやTLR4の発現を抑えサイトカインの分泌やVAGFの発現を減少させた。その結果、転移に重要な役割を果たす上皮間葉転換(EMT)抑制し、メラノーマの肺への転移を抑制することになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
グリチルグリチンによる発がんと悪性化(転移)の予防機序を更に解明するために腸内細菌を解析する。また、炎症を抑える酪酸など短鎖脂肪酸を分析する。グリチルグリチンの不純物として存在するグリチルグリチン誘導体の有効性をグリチルグリチンそのものとを比較する。抗炎症剤であるアスピリンについても発がんの予防効果を検討し、グリチルグリチンの効果と比較する。
|