2019 Fiscal Year Research-status Report
侵襲性肺炎球菌感染症のゲノムワイドな比較解析に基づく流行動態と病原性に関する研究
Project/Area Number |
19K10594
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Research Institution | Kobe Institute of Health |
Principal Investigator |
野本 竜平 神戸市環境保健研究所, その他部局等, 研究員 (60642238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 隆二 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (10332454)
中西 典子 神戸市環境保健研究所, その他部局等, 研究員 (50615490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / ゲノム解析 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は、菌血症、髄膜炎など侵襲性を伴い肺炎球菌が無菌部位検体(血液・髄液)から検出される感染症で、抗菌薬が発達した現在においても、しばしば重篤な後遺症を残し、致命的となる場合がある。IPDの原因菌である肺炎球菌は健常人の鼻咽頭にも常在する菌であるが、ヒトに常在している肺炎球菌がIPDを引き起こす際の菌側のリスク因子は何なのか?という点に関しては不明な点が多い。そこで本研究では臨床株や健康保菌株とのゲノム情報を利用しIPD原因菌が保有する新規のリスク因子を特定することを目的とする。本年度は神戸市で分離された血清型12F菌株について全ゲノム系統解析を実施したところ、ST6945とST4846に分類され、全てのST6945はコアSNP数が数個の範囲に収まり、市中で同一クロ-ンが伝播していた可能性が示唆された。一方、ST4846はST6945よりも多様性があり、神戸市内においては散発的な発生であることが示唆された。ゲノム分子疫学解析を実施することにより、MLSTではわからない潜在的な集団感染事例の可能性を見出すことができた。また、その他神戸市で分離された計30株のIPD原因菌についてドラフトゲノムを決定すると共に、MinIONを併用した完全長配列決定をIPD原因菌で簡便に実施可能であることを確認した。更に健康保菌者由来株について、ゲノム解析対象となるサンプルの選定を終了した。今後臨床由来株と健康保菌由来株の多株比較解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の検査対応のため業務負担が増加し、2月以降に予定していた解析が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
積極的疫学調査によって収集された神戸と大阪のIPD原因菌および健康保菌者由来株のMLST解析をNGSを利用して網羅的に実施する。出現した主要な遺伝系統に含まれる全ての株(100株以上を想定)のドラフトゲノム配列をMiseqにより決定する。ゲノム上の保存領域のSNPによる系統解析を行い、メタデータと遺伝的系統の偏りについて更に詳細に検証すると共に、研究実績の概要で述べたような潜在的なアウトブレイクとも言うべき現象が起こっていたかどうかについても明らかにする。また、健康保菌者由来株の系統的位置づけを明らかにし、健康保菌者由来株の遺伝的多様性から、同一血清型間でもIPDを発症しやすい遺伝系統(ST)が存在するかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により2月以降に計画していた解析を中断したため。翌年度分の助成金と合わせてゲノム解析の費用及び研究打ち合わせや学会発表などの旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)